見出し画像

真夜中の電話

夜中 電話が鳴り響く…


「俺、ドバイ経由で
フランス行きに乗るから
もうwifiが使えなくなる
フランスに入って試験受かったら
携帯全て取られるから受かったら
暫く連絡はできないから」

と早口で告げられて切れた

努めて明るく
いつも通りに受け答えしたが
心臓が掴まれた緊張感が走る


私は大切な決断で
「大きな間違いを」
犯してしまったのかもしれない
取り返しがつかない決断だ

何ヶ月をも音信不通の間
何度も、何度も後悔していた

ある元フランス部隊の方の父親は
しっかり息子と向き合い男同志で
対話し悩み葛藤しながら父親として
見守り息子を受け止めていた

私がいるこの家族は
子と向き合う父親が欠落していた
「機能不全家族」だった

人生を生きる事を
父親として問いながら諭す人は
私以外に誰もいなかった 
不甲斐なく悔やみ切れなかった

ここまでのプロセスも
彼が選んだ人生のチョイスも

夫婦として家族として真っ当に
労わりあい愛を持って教えていれば
この道の選択肢は無かったのかも
しれないと、、

頭をぐるぐる駆け巡り続ける


そしてその頃

彼は 夢に描いていたその光景が
想像より遥かに絶する
イカれた場所だと門を潜って直ぐに
思い知らされていたようだった

日本の自衛隊と同様
この世界は片道切符
まだ日本ならばなんとか正攻法
で退職できた彼も


フランスでは通用しないと
わかっていながらも痛いほど
身に染み始めていたのだった


異国の部隊に入るとは
そうゆうことなのだ



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?