第31話 自業自得って言ったら怒る

 君に人生を狂わされた。大袈裟だと思うかもしれないが、実のところ全くの事実だ。
 高校生の時の文理選択で、私は理系を選んだ。君がそうだったからだ。三年生に上がった時は数Ⅲをとった。君がそうだったからだ。理系なので、大学も当然理系に進むわけだ。そして私は地獄を見た。
 ところで私の趣味は小説、それに哲学だ。得意教科は国語。模試では文系を押しのけて学年一位を何度かとった。特に古典が好きだった。国語だけなら君より上だった。
 もうおわかりだろう。私はどう考えても文系脳だ。数Ⅲのテストは赤点しかとったことがない。数学の先生から目をつけられるレベルで、私は数学ができなかった。
 農学部を選んだのは、理系でも数学から遠ざかりたかったからに他ならない。それなのに、水工学だの土工学だのが私を死ぬほど苦しめる。死ぬ。
 そんなこんなで、私は当たり前みたいに留年の文字を見る。ちなみに二年連続だ。恥。
 君のせいで人生が狂った。君は頭がいいので、全部上手くいってるらしいけど。

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