『後進』

僕は頭をリフレッシュさせたい時や何も考えたくない時、何か新しい発見や刺激が欲しいなっていう時によく散歩をする。
それこそ緑や自然の溢れる山道だったり林道や、潮の香りを浴びに海辺を歩いたり、街中だったり。よく行く場所や初めていく場所など、そのときの気分によって様々な場所を練り歩くのです。

そんなある日の夕暮れ時。

街中を歩いていたら、子どもと手を繋いで歩いているお母さんだったり、犬とかを散歩している人とか色んな人とすれ違って、その人たちは事あるごとによく下を見ている事に気付きました。
「なんでなのかな」と考えた時に、
その人たちの視線の先には、その人にとって大事で失いたくない対象があって、心配でちょこちょこ下に視線を向けてるのかなって思いました。

”何かを手にしたいと思っている人”よりも
”何かを失いたくないと思っている人”の方がどうしたって下を向いてしまうし、後ろを向いたりする。

不安だから、失いたくないからこそどうしても下を向いてしまう。時には後ろを向いてしまう。時にはしゃがみ込んでしまう。
人間、本当に大事なものを守ろうとする時には、抱え込むようにして背中を向けるのかなって思います。その姿こそ人間らしい愛しい姿なんじゃないかなと僕は思うのです。

前向きになんてなれなくたっていい。
だって、後ろを向いたままでも前には進めるし。(エビみたいにね。)
きっと「頑張って前を向こうぜ」って背中を押してくれる素晴らしい人もいるでしょう。でも、もう僕は誰かの背中を押すようなことはしない。
だって人にはみんなそれぞれのペースがあるから。
自分の考えや、言葉を押し付けて相手のペースを乱すことを寄り添うとは言いません。それはもはや"一種の暴力"になると思います。
大事にしたい、守りたいものがある人の背中を押すということはしないで、背中をさすってあげる。
そんな寄り添い方をしていきたい。

”後ろを向いている人を前に向かせるのではなく、後ろから抱きしめる”、”前を向きなよというのではなく、後ろを向いたままでもいいじゃん”と言い続けられる人でいたいなあと思いました。

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