嫌いじゃないわ



助長の雨が嫌いだ。
涙する程に勢いを増すその雨の粒は確かに大きくなっていく。
やがて大きくなった無数の粒がぶつかり合って真っ白な壁を作り私を囲んでみせた。
その壁はまるで外の音を遮り泣きじゃくる私を守った。
なんて余計なことをしてくれるなと思った。
いっそ全て雨に洗い流されたいと思っていたのに。
全て失ってまた孤独に浸ろうと思っていたのに。
ふっと、久しぶりに微かに笑えていた。



この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?