「バックエスケープ」について語りたい


はじめに


 「私の」予想に反して、CJI(クレイグ・ジョーンズ・インビテーショナル)は、イベントとしては大成功だった。

 (特に-80kg級は)豪華なメンバーが揃ったが、5分3ラウンドという試合形式では、WNOのように「時間をかけて、相手を詰めてタップを取る」という事が難しくなるので、フィジカルでゴリ押しする(=出来る)選手が有利になり、大味な試合が増えるのでは?と危惧していた。

 優勝したのが、ケイド・ルオトロとニック・ロドリゲスだった事を考えると、やはりフィジカルが高い選手の方が有利だったのは事実だと思うが、(クレイグが期待したように)展開が早く、観客受けする試合が多かったように思う。

 CJIに興味のある方は、下記リンクから視聴して欲しい(事前の公約通り、無料で配信されている)。


 同日に行われたADCCよりも、CJIの方が明らかに会場が盛り上がっていた事を考えると、CJIは一発花火に終わらず、第2回以降の開催が予想されるが、以前も述べたように、クレイグにとっては、この大会の収益化をどうやって図るか?が今後の課題になるだろう。

印象に残った試合


 今回は、CJIのベストマッチと言われたケイド・ルオトロとアンドリュー・タケットの試合を見て思ったことを書いてみたい。

 1Rにタケットがルオトロのバックを取って、「ボディ・トライアングル(≒4の字ロック)」に捉えた。

 タケットの「ボディ・トライアングル」は、ほぼ完璧に近い形だったので、ルオトロがそこから脱出するのはかなり難しいように思われたが、ルオトロは「エスケープ」テクニックを駆使して、見事にそこから脱出して見せたのである。

 「よく逃げられたなぁ・・・」と言うのが試合を見ていた時の私の率直な感想だったし、後述するように、ルオトロはフィジカル任せに暴れて「4の字ロック」を外したのではなく、理に適った「エスケープ」テクニックを使っていた事に二重の驚きがあった。

 これまでも各所で「バックエスケープ」については部分的に触れたことがあったが、今回はそれについてひとつの記事としてまとめて書いてみたい。

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