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4種の法人比較(2)~株式会社と有限会社のイメージ~

前回の記事では、過去の最低資本金制度によって、現在の株式会社や有限会社にどのようなイメージが付いているのか、について書きました。

前回に続いて、「株式会社」という名称が与えるイメージについて掘り下げて考えてみましょう。

「株式会社」という信用

過去の法制度由来のイメージを抜きに、今回比較する4種類の法人形態や、それにとどまらず全種類の法人と比較したとしても、株式会社には「比較的大きな会社」というイメージがあります。

他の種類の法人であっても会社の規模を制限されているわけではないので、例えば「売上100億円、従業員1万人です!」ということも理論上はあり得ます。
しかし株式会社ほど経済的な規模の期待値は高くありません。それはなぜでしょうか。

まず、現代の経済社会におけるメインプレイヤーはほとんど株式会社だから、という事実に基づくものです。
これはみなさんが体感されているとおりで、普段購入している商品やサービスの提供者はほとんど株式会社で、テレビCMもおおよそが株式会社のものでしょう。そのような体験に基づいたイメージです。

そして、そのような現実を生み出している土台には、株式会社が資金調達をし易いような構造をした社会の存在があります。
NISAが注目を集め、「株式投資」が一般の方にも浸透しているように、株式会社は上場することで世界中から資金を調達できる法人形態なのです。
「ほとんどの株式会社は上場していないじゃないか」と思われるかもしれませんが、今回の4種類の法人の比較として、株式会社は「規模的な成長の可能性」のイメージを会社名の中に内包している、ということになります。

株式会社を通して、お金が世界を回っています

「有限会社」という信用

先に述べた旧最低資本金制度により、株式会社よりも少ない資本金で設立できる会社だった有限会社には「比較的小さな会社」というイメージがあります。

一方、会社法が2006年に施行された後は、少ない資本金でも株式会社が設立できるようになったため法人形態として有限会社を選択できる意味がなくなったことから、新しく有限会社を設立することはできなくなりました。
それまで存在していた有限会社は株式会社の一種として整理され、法律上は「特例有限会社」という分類となりました。

既に役割を終えたものとして、廃止に近い扱いを法律上受けているわけですが、当面の間は有限会社は「有限会社」を名乗りながら事業を継続することができます。

悲しいような寂しいような気もしますが、現在のこの状況が、有限会社に他の種類の法人にはないプレミアムを生んでいます。

すなわち、「有限会社は少なくとも2006年以前に創業し、生き残っている会社」という会社の歴史の証明が「会社名」に内包されていることになります。
現在が2024年なので、短くとも創業18年以上、ということになります。

他の種類の法人の名称は創業年数と一切関連がないことを考えると、非常に貴重な会社名と言えるのではないでしょうか。

有限会社は老舗の証!

次回は、「合同会社」という名称について検討してみようと思います。

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