地図とテリトリーの違い/サッカーを理解するうえで必要な考え方



1.地図とテリトリーとは



「地図上の『位置』と様々な状況が含まれる『テリトリー』を混同してはいけないよ。」
              
ファンマ・リージョ

出典:https://www.footballista.jp/special/49207

【地図】紙や画面で見る目的地までのルート=ボード上の配置
【テリトリー】実際の道路状況=試合中の相手選手の位置・能力・意図etc…

ドライブに出かける際、地図(ナビ)で見たら最短最速ルートであっても、
実際に通ってみると渋滞していたり、工事中だったり、狭くて通りづらかった…
なんてことは誰しも経験したことがあるだろう。

同じように作戦ボード上では最適解のルート(立ち位置)でも、実際の試合では
・相手SBの質が高く突破が困難
・思ったよりプレスが早い
・2トップでプレスに来ると思ったら3トップでプレスに来た
など…
想定していた事と実際の状況が異なったり、ピッチ内の状況が数秒毎に移り変わっていくことは、サッカーというスポーツにおいては至極当たり前のことである。

要は、ボード上ではなく『相手を見てサッカーをする必要がある』ということだ。

試合前にコーチがボードを使って子どもたちに試合の進め方を説明しているが、ボード上の相手が自分たちにとって都合よく配置されていたり、動いてくれている事が多々ある。

もちろんピッチ上では相手が都合よく動いてくれるわけもなく、上記のような想定外の状況に選手もコーチも対応できず、例えビルドアップが嵌められていても終始同じことを繰り返してしまう。

選手もコーチも相手を見てサッカーができていない例である。

また、戦術というと、4−4−2の相手には①→②→③…とワンパターンなゴールまでの道順を伝えたり、サイドバックの選手が受けたらここにパスを出す。CBが持ったらボランチは必ず落ちてくる。とプレーを限定してしまいがちだがそうではない。
チームとしてのコンセプトと判断基準を共有し、そこから実際にどのプレーを選択するかは、試合の状況による。

例えば、4−4−2で守ってくる相手に対してセオリー的な崩し方はいくつかある。
2トップの脇のスペースや間受けなど。

しかし、相手がハイプレスなのか、ローブロックなのか、マンツーマンなのか、ゾーンなのか、また味方相手の両選手の能力や特徴によっても、セオリー通りの崩し方が最適ではない場合がある、
もちろん交代によっても細かく変化する。

ボランチが落ちてくるのか、落ちずに高い位置を取りに行くのか。
偽SB化するのか、通常のSBとしてプレーするのか。
空いたスペースに運ぶのか、運ばずに引き込むのか。
どのようにゴールへ向かいゴールを奪うのかというコンセプトと目的、判断基準をはっきりさせることで各選手の判断が容易となり、その場の最適解を見出しやすくなると考えている。

大切なのはコンセプトは保ちつつプランを変えていくことだ。

2.本質を見失わないこと


戦術を考える上で混在しがちなのが、「目的」「手段」の違いだ。
シティやレヴァークーゼン等、システマティックな戦い方は確かに格好良く見える。
偽SB、偽CB、ゼロトップ、サリーダ・ラボルピアーナ…等々

少し嫌な言い方をすると、スタッフ側の心情として複雑な動きを仕込むことで、勉強している感やチームとしても練度を高められている感は出る。
しかし、本質からはズレてしまっていないだろうか。

ゴールを奪うという「目的」のために戦術という「手段」があるのであって、裏へのロングボールなどシンプルで合理的な方法で勝てるのであればそちらを選ぶ必要がある。

先を見据えた育成のために、システマティックな事だけに取り組むのか、その中でも勝負どころではロマンを捨て、勝つための合理的なサッカーを選ぶのか。
難しい問題ではあるが、クラブ・指導者自身の哲学や理念、サッカーそのものの本質を見失わなければ、良い結果が訪れると私は思っている。


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