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第24節 セレッソ大阪vsアルビレックス新潟 振り返り

セレサポの皆さんお疲れ様です。
気温・湿度共に高く、見ている側も厳しいコンディションだったとは思いますが応援お疲れ様でした。

30周年記念マッチということで試合以外も盛りだくさんな1日でしたが、今回は試合に焦点を絞って。


怪我人の復帰

なんといっても2ヶ月半ぶりに戻ってきた登里、そして今季初のメンバー入りを果たした進藤両選手の復帰。

この2人をどうチームに組み込むか、はたまたチームを作り替えるのかってところが今後の注目ポイント。

この日は登里が左SBでスタメン、進藤はベンチと、ひとまずは登里をどう組み込むか?ってところで、直近と比べていくつかの変化は見られた。

流れを手にしかけた前半

この日は保持時433、非保持時442のような形、でも自陣で繋ぐときは442の形を維持するパターンもあり、何かを準備してきた様子だった。

5分、アルビのビルドアップに対して「どんな相手でも引くことなく前から行くぞ」と言わんばかりの前プレで相手の攻撃を阻止するなど、自分たちのカラーを全面に押し出していくセレッソ。

7分にはセットプレーからネットを揺らされるもオフサイドでことなきを得ると、ここから試合は徐々にセレッソペース。

8分には登里が周囲に指示を飛ばしながら中へ忍び込み、シーズン序盤を思わせる"偽SB"の動きを見せる。

シーズン序盤によく見られた形
この日、久々に披露された

10分には両SBが中央へ絞ってパス回しに絡んだところから最後は上門のシュート。

12分には左右から立て続けにクロス。

13分にはレオが降りて相手の最終ラインにギャップを作ったところをカピシャーバが斜めに走り込むなど、アルビを敵陣に押し込み続けた上、多彩なパターンで攻撃を繰り出し続けた。

特に登里の周りを動かすコーチング。これはやはり登里にしかないものだなと感じた。似たようなことが出来るのは、今のセレッソだと香川真司かもしれない。彼もまた、自分を中心に周りを動かしながら攻められる選手だ。

時折、登里が外、カピが中へ
奥埜が降りる動きも見られた。


ところが15分。
アルビのビルドアップに対してまたしても前から捕まえに行くセレッソだったが、見事に裏返されると左サイド長谷川のクロスを小野が合わせてあわやという場面。

続けて17分、ボールを失ったところから登里の裏を松田が使って再び危ない場面。

動いたSB裏というのはセレッソが最も使われたくない場所で、ここを使われたくないからアビスパ戦以降はSBを内側に動かすことを控えていた。この試合、久々にSBを内側へと動かしていたセレッソが、早速「突かれたくない場所」を使われた格好だ。

そしてこの辺から、セレッソのプレス空転が目立ち始める。選手と選手の間にパスを通され、広げられ、二度追い三度追いを強いられる。
特にセレッソの2トップの背中で相手ボランチがボールを受ける場面が多く、セレッソの守備は常に後手に回っていた。アルビの選手たちは、味方にパスを出してから動き直しをする回数は多いしスピードも速い。それも何人も連動してくる。
この暑さもあって、後手後手で追いかけまわす展開はセレッソにとって相当きつかった。

SHを引っ張り出され、内側を通され
ボランチへ落とす。
この流れは何度も見られた。


耐える時間が続くと27分には3人目の動きで右SB藤原がポケットへ侵入。

32分にはゴールキックの跳ね返りからボランチ周りの空いたスペースを使われ長倉がドリブルからのシュート。

そして36分、スローインを奪われた瞬間、またしてもネガティブトランジションのところだが、人数を掛けて奪い返しに行くも奪いきれず、一気にサイドを走られて最後はクロスから小野が合わせ失点。

パッと見るとなんてこともないセレッソ側からのスローインから失点。だけど試合展開で考えたらいつ失点してもおかしくはなかった。

やはり20分あたりから前が追えていなかったし、それによって後ろも動かされていたし、奪われた瞬間もちょっと危険だなという感じだったので、ハッキリ言ってしまうと「アルビの試合」と言っても差し支えはなかった。

「前が追えていなかった」というのは決して前線のプレスが弱かったという意味ではなくて、相手がこちらのプレスを掻い潜るのが上手いが故に「どこからどこへプレスに出ればいいのか」の判断がだんだん難しくなってきたことが影響していると思う。

だけどまだ1点。時間もある。…と、思っていた。

厳しい内容の後半

で、ハーフタイム明け。上門→柴山というカード切る。タイミングも、交代カードも、前節と全く同じ。

ここ最近、色んな記者の方やサッカーライターの方、サッカーに詳しい方が仰っているように、「前後の繋がり」という部分で課題を見せているセレッソ。

後ろで繋いで、作って、前に良い形で渡したい。でもその後ろと前を繋ぐ人がいない。前と後ろである程度の役割分担はあるものの、完全に分断してしまっては良い形は作れない。

っていうところで、今重宝されているのが柴山。
一言で言うと、「後ろで繋ぐグループ」と「前で仕上げるグループ」の、橋渡しとなる選手、もしくはどちらのグループも兼任できるような選手。雑な言い方だけどそんなところか。

だけどご存知のように柴山も諸刃の剣というか。
彼は計算して組織に組み込むというよりも、どちらかというと自由な動きや発想に期待しての起用だと思う。
結果的にそれが前後を繋いでくれることに期待はしているが、言い方は悪いけど「何か起こしてくれ!」という感じなのかなと。

この試合は登里も起用されており、登里は今のセレッソで「前後の橋渡し役」をさせたら最も上手い選手の1人。

だけど実際ピッチで起きていた現象としては、ボールを落ち着けてライン間に顔を出しながらじっくり攻めたい登里を、チームとしてあまり活かすことが出来ていなかった。

時折絶妙なポジショニングを取っているなと思ったけど、そこを効果的に使うことは出来なかった。だから、橋渡し役を増やそうということだったんじゃないかと。ブエノでもよかったんだろうけど、そこはプレスに出る際の強度や走力を考えて柴山をチョイスした、ということなのかもしれない。

チームとして、プレスにはしっかり出ていくぞ、自陣から攻めるときはちゃんと繋いで攻めるぞ、というメッセージが込められた交代だったと感じている。

…が、そういった思惑は残念ながら後半開始早々の失点で脆くも崩れ去ることとなる。

これもまたまた失った瞬間のネガティブトランジション。柴山、ルーカス、レオ、奥埜、カピの5枚が前線に並んだ瞬間にボールを失ってしまい、空いたスペースを使われながらボールを運ばれると最後はまたしてもクロスから失点。

非常に悪い形で相手のカウンターを受けてしまい、中も外も相手選手に対応しきれず、2点目を許してしまう。痛恨の失点だった。

そして2点とも、クロスに対して中でフリーな選手が生まれている。シチュエーションが全く違うので一概には言えないにせよ、ちょっと今のセレッソの苦しい部分が見えたかなと。

2点ビハインドになってしまうと、なかなか難しい。

ここからはブエノや山﨑を入れて、より前へ前へということになるんだけど、正直なところ理詰めでどうこうっていうよりはもうオープンな殴り合いへというイメージ。

山﨑投入後は中盤ダイヤモンドの442に見えたけど、あの時間帯だとそんな話をしてもしょうがない。とにかく攻めるしかない。

柴山の決定機があって決めきれず、反対に自陣の繋ぎのところを狙われて平野がDOGSO。

冷静にゲームをコントロールするアルビに対して流石に打つ手なしのセレッソ。最後の最後、ルーカスのゴラッソが決まって1点差に詰め寄るもそこで試合終了。

10人で1点差に迫ったのだから惜しかったか?と言われると決してそんなことはない。完敗と言っていい内容だった。

最後に

9試合負けなしだった…とはいえ内容的に満足できる試合はほとんどなく、ギリギリのところでセットプレー等で1点もぎ取って勝つ、あるいはなんとか引き分けに持ち込むという試合が続いていたので、いつかこういう試合があってもおかしくはなかったかなと。

負けたこと自体、負けなしがストップしたこと自体は仕方ない。そりゃいつかは負ける。

だけどそれまでも良い内容は言えなかっただけに、負けたら一気に不満噴出というか、書きたいこといっぱい出てきたけど今回は我慢する。それはまたの機会に。

この試合に関して言えば…サッカーライターの細江克弥さんという方の言葉を丸々借りることになるが、相手はパーを出してくると分かっていた中で、それでもグーを出した。そんなイメージだ。

もちろん、どんなグーなのか、グーでどう勝っていくかという準備はあったはず。そして何より、俺たちたちはグーのチームだ、だから相手がパーであってもグーで突き破ろうという譲れない部分だってあっただろう。
でも残念ながら、結果は出なかった。

出来ないときにチョキを出すってのはどうも苦手なようで。この辺はまたの機会にじっくり書きたい。

あとセレッソはそれぞれの局面ごとに見ていくと、しっかり作り込まれているし狙いも伝わってくる。

戦術がない!なんて言ってる方も見かけるけど、個人的にはそれは大間違い。戦術はあるし、かなり準備はしている。
だけどそれぞれの繋がりがあまり見えてこないかもしれない。
これは今季だけではなくて小菊監督就任時からずっとそう。そこが課題なのは間違いないと思う。

そのうちのひとつが今言われている「前後の繋がり」
後ろは後ろでちゃんと作り込まれている。前も前でやることはハッキリしている。あとはその両者をどう繋ぐか。

その前後の繋がりについても、序盤は間違いなく繋がりを出せていた。両IHが高い位置を取って前線に厚みを持たせることは出来ていた。

でも、それをするためにSBを内側に動かすと今度はSBの裏を使われる。同じようにアンカー脇も使われる。だからSBは外、ボランチは2人…ってしたら今度は前と後ろの繋がりが薄くなってき前線が孤立する。

もう堂々巡りだ。難しい。

外から見ているだけだとどうとでも言えるが…外から見えていることを現場が気づいていないはずがない。それだけ難しいってことなんだと思う。

だけど早く修正しないことには目標は遠のくばかり。

幸いにも中断期間に入る。登里と進藤も状態を上げてくるだろう。
小菊監督ももう一度フラットに見直すと言っていた。

次の町田戦、何かしら動きはあると予想している。

次の一手がハマるかハマらないかが、今季の結果に直結すると思っているので、町田戦でどんな試合を見せてくれるか注目したい。

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