＃12 おじさんダレる
年始をグダグダ過ごしたおじさんのダイエットは停滞している。モチを焼いているのだから当然のことである（現在95.5kg。ほぼ変わりなし）。
年末年始はそこまで降雪することもなく、家の中でゆったり運動したり三国志11PK（PS2である。おじさんゆえ）を今更やったりしていたら、全てのやる気を吸い取られて運動をサボってしまったりピザを焼いたりしていた。
ある朝、おじさんが不安な夢からふと覚めてみると、ベッドの中で自分の姿が一つの、とてつもない大きな肉塊に変わってしまっているのに気がついた。
顔にはあるべき穴がなく、毛もないつるりとしたかたまりであった。目玉がないのに鏡が見え、耳がないのに音を聞くことができたのが不思議だった。指はすべてひとかたまりになり、キーボードを叩くことができない。おじさんはフリック能力が巧みなのでこの記事はスマホで書いている。この状態でもインターネットにアクセスしているあたり、現代人のネット依存の深刻さが伺える。
このままでは人間としての意識を失って心身ともに肉塊となり、そのうち巨大化して他の人間を襲うおそれがあると思った。津軽海峡を渡って霞が関を破壊し尽くしたおじさんは自衛隊の攻撃を物ともせず、太平洋を渡り、西海岸を呑み込み、最終的には手動でスイッチを押さなければ起動しない核爆弾を抱えた退役軍人によって退治されUSA！USA！と映画館でポップコーンを投げられる可能性がある（吹き飛んだ肉塊の破片が下水道に消えるカットが最後に挿入される可能性もある）。
おじさんは激怒した。必ず、かの邪智暴虐の脂肪を除かねばならぬと決意した。
しかし、正月ボケと生まれながらの怠惰の混ざった肉塊には急激な生活習慣の改善は無理だ。やる気ゲージを一気に消費してしまうと終盤まくられる。「昨日頑張ったから今日はいいか」と、人間は常に怠ける口実を探している生き物なのである。
意識低低おじさんは肉塊状態から脱するためにスープを煮る。
おじさんのこれだけ食っとけスープ
材料（4～5食分）
※必須
ニンジン 1本
玉ねぎ 1個
コンソメの素 1個
塩 少々
油 大さじ1
水 200cc以上
※入れても良い
キャベツ 四半分
白菜 四半分
レタス 半玉
ホウレンソウ 2～3束
小松菜 2～3束
ゴボウ 1本
大根 10センチ
カブ 3～4個
レンコン 5センチ
ジャガイモ 2～3個
里芋 4～5個
さつまいも 0.5本
ナス 1本
ピーマン 2～3個
パプリカ 1個
トマト 1～2個
セロリ 1本
きゅうり 1本
ズッキーニ 0.5本
アスパラ 1～2本
ブロッコリー 1個
しめじ 1パック
舞茸 1パック
えのき茸 1パック
エリンギ 1～2本
しいたけ 3～4個
マッシュルーム 1パック
豆類 1缶程度
生姜 適量
ニンニク 適量
※動物性タンパク質・脂質が欲しいとき
ベーコン 50g
ソーセージ 3～4本
鶏肉 200g
鶏ハム、ゆで豚
※味変調味料
ケチャップ
カレー粉、カレールー
酢
味噌
オリーブオイル
ごま油
※野菜は3～4種類あれば充分。それ以上入れれば豪華。
作り方
1.すべての材料を火が通りやすい状態にカットする。
2.鍋に具材を敷き詰め、コンソメの素、塩、油、水を加えて中火にかける。
3.時折ヘラなどで返しながら10～30分ほど煮る。
※夏季は2日、冬季は3～4日以内に食べきること。
※食べ切れる量しか作らないこと。
これだけ食っとけスープについて
自炊好きなおじさんですら、全てが面倒なときにこれを作る。野菜をしこたま煮るだけの、料理というより中間素材に近い。
特に頭を使わず、冷蔵庫の備蓄を適当に刻んで突っ込めば作れる。朝食にトーストか冷凍の焼きおにぎりとこれを食べておけば体調は問題ない。昼食の弁当にしたい場合は、そのままだと野菜くささが強いので「酢＋ごま油」や「ケチャップ＋オリーブオイル」で香りを加えると良い。
食物繊維・ビタミン・ミネラルが豊富で、それしか褒めるポイントがないメニューだ。味付けが塩とコンソメだけなので、なかなか飽きが来ない持続性もある。とにかく野菜が大量に摂れる。おじさんは焼肉を食べる日の事前にも食べる。
味は良くないが悪くもない。他のなにとも相性が良くないし悪くもない。食事としては可もなく不可もない。「食事を楽しむ」という概念からは距離を置き、栄養バーやサプリメントのような感覚で食べている。薬食いである。当然ながら胃腸にすこぶる良い。
果たしておじさんは肉塊状態を脱することができるのか。巨大な肉塊が暴れだしたニュースが報じられたらそれはおじさんだと思うので録画しておいて欲しい。
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