🇩🇪 ドイツ ミュンヘン
その国特有の香り、なるものがある。
1年前なので記憶も薄れつつあるが、ミュンヘンの空港に降り立った時、消毒液となにやら甘い匂いの混ざった香りを浴び、外国に来たんだということを実感した。
空港で右往左往しつつもどうにか宿にチェックインし街に繰り出すと、あまりのタバコ臭さに行きつけだったゲーセンを一瞬思い出したが、地下鉄の駅を出た瞬間に押し寄せたゴシック建築の波が、それらを忘れさせるほど美しくて重かった。
写真や映像で見た時、ゴシック建築の協会や建物は美しい見た目からどこか現実味のなさを感じていたが、実際に足を運び、そこで生活している人の体温を感じたことで、ディズニーランドのなかにあるハリボテの建物とは全く異なる重さ、生活の中に息づいているものとしての美しさを感じた。
町中は道のくぼみの全てに吸殻が詰まっているのではないかと思えるくらいタバコが落ちていた。「日本と比べてきたなすぎる」などと嫌悪感丸出しの日本人もかなりの数いるようだが、嫌なものを徹底的に排除して美しさを保つよりも暮らしの痕跡がいたるところにあるのが健全なあり方なのではないか?と思わなくもない。
ちなみにミュンヘンの家賃はドイツ国内では飛び抜けて高いらしい。
街歩きをするといたるところにチェロ弾きのおじさんやバイオリニストのお姉さんなどが立っていて、ストリートの音楽家の演奏で当たり前のように音楽に触れる生活があった。
今流行りの文化資本の差ってやつを見せつけられてしまった。
ミュンヘンでこれなら勝てっこないぜ。
街を色々周る中で、英語が思ったより通じない/記載がないことに少しショックを受けた。日本よりはマシだが、年齢が上の方になるにつれて喋れない人の割合が増えていく。
当たり前のように店員は英語でメニューの説明は出来ない。レストランでGoogle翻訳を通しても何かわからないドイツ語のメニューを見て適当にたのんだ結果、クソまずい厚切りのハムが出てきて泣いた。リサーチは大事だと学んだ。
もちろんホテルでも英語が通じず、身振り手振りでなんとかしたが、ある意味どこの国もこんなもんかと安心した。
ホテルのある場所はミュンヘンの郊外で治安もよく美しい街の中だった。
いたるところにベンツやBMWのタクシーが走り、道路脇には泥水がはね返った状態のそれらが自家用車として停められていた。(ドイツは道の横が駐車場替わりになるところが多い)
泥水まみれの高級車にびっくりしたが、国内用に安価なモデルが売られているかなにかだと信じたい。
翌日だか翌々日に幼なじみと合流してドイツ飯をたべたが、どこの店に行っても基本肉と茹でたポテトで野菜不足になって死ぬかと思ったが、ソーセージと麦酒があまりに美味しかった。
食事繋がりだと、オクトーバーフェストの時期だったのであまり良くないとは思いつつ、深夜1時過ぎくらいまで会場のテントでビールを飲んだりデザートを食べたりした。
終電が遅い国バンザイ!
蒸留所ごとに遊園地の中にテント(ログハウス的なやつ)があり、中では謎のバンドが中心で生演奏していた。
1リットルのジョッキで永遠にビールが運ばれてくる仕様で、酔いすぎた現地の人間が机の上に総立ちだった。
ラスベガスとディズニーランドを足して水で希釈したみたいな大人の遊園地では、普段酔うことがないであろう西洋人の方たちがベロベロに酔ってゲロをぶちまけていた。楽しい!
人生でほぼ初の海外旅行(1人で国外に出るのは初めて)だったので緊張したし、空港ではバス乗り場がわからなかったりホテルで英語が通じなかったりで疲れはしたが、こういうことの積み重ねで旅慣れていくので通過儀礼みたいなものかもしれない。
数日の滞在ではこの街の良さも悪さも十分にわかったとは言えないけれど、住み良い街並みって言われるのはちょっと分かった気がした。
穏やかでパリ、ローマよりよほど治安がよく、コンパクトな街で都会過ぎないながらもオシャレなものは一通り揃っていて、公園等が充実しており一息つける場所が沢山ある。
街ゆく人やお店の人たちも、笑顔は少ないながらも頼るとものすごく真剣に取り合ってくれる。(スペインはこの逆かも)
移民街には行かなかったのでこの街の裏の部分に関しては分からないし、どこまで語る資格があるかはわからないけれど。
2022年の9月後半から11月の前半まで何カ国か旅をしたけれど、住みたいと思った街は数える程しかない。
ミュンヘンはそのひとつだった。
日本に帰ったあと安い値段のホテルや古い雑居ビルの中で強烈なタバコ臭を嗅ぐことがある。
嫌だなと思いつつその度に、どうしようもなくこの街のことを思い出す。
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