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ろくなもんじゃない日常・捨てたもんじゃない人情 4

あっこちゃんとクーたん

幼稚園の頃、仲良くしていた友達にあっこちゃんという子がいた。

あっこちゃんは優しくておしとやかな女の子で、いつもニコニコしていた。
私はそんなあっこちゃんと一緒にいるのが心地よかった。

お正月にはママが帰省するので、私も一緒にばあちゃんのところに帰れる。私はそれが待ち遠しくて、早くお正月が来ないかとカレンダーを見ながら日を数えていた。

私は帰る度にあっこちゃんの家にもバスに乗って遊びに行った。

あっこちゃんは久しぶりに会ってもニコニコして、以前と変わらずにいてくれることが嬉しかった。

あるとき、ばあちゃんが私とあっこちゃんにぬいぐるみを買ってくれた。
クマのクーたん。尻尾のところに鈴が入っているのがお気にいりだった。
私はそのおそろいのぬいぐるみを持って遊びに行き、あっこちゃんにプレゼントした。


あっこちゃんとは、その後大きくなるにつれてばあちゃんの家に帰る回数も減り、しだいに遠のいていった。

今では記憶も薄れ、どんなことをしてあっこちゃんと遊んでいたのかは思い出せない。でも、この頃の私にとって、あっこちゃんは大切な友達だった。

(元気にしてるかなあ、あっこちゃん。お化粧品屋さんの娘さんやったから綺麗な女性になったんやろうな……)


私はいつもクーたんを抱っこして、ばあちゃんのところに帰りたいと泣いていた。

もうだいぶ汚くなっても、クーたんだけが私の支えだった。


つづく

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