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奇跡のインド16

シロダーラ(額に油をたらす施術)のあとに、診察を受けた。問診票への回答と、脈診である。

案内してくれた現地在住のヨガの先生が、下手な占いよりよっぽど正しい、みたいなことをおっしゃっていたが、どういう意味なのかわからなかった。
そもそもアーユルヴェーダの、体質診断みたいな質問票を本で見たことがあるが、どう答えていいかわからない質問も少なくない。よって、自分が何の体質だかわからずじまい、と言うことが多かった。そして今回も、例にもれず答えに窮する質問がある。そういうのは適当に回答した。だから正しい診断なんてできるのだろうか、と半信半疑だった。

医師は、質問票はチラッと眺めただけで、私の両手の脈を取ってしばらく脈を観察していた。脈なんかでなにがわかるというのだろうか。
すると、しばらく脈診をしたあとで、診断結果を告げた。彼は私の性質をピタリと言い当てた。
私の場合はヴィータのエネルギーをもう少し高める必要があるという。私はとてもセンシティブなタイプで、気分のアップダウンが激しい、とのことだった。そして私にとっての施術は、シロダーラがふさわしいらしい。私は自分にとって必要な施術を自然と選択していたのだった!

うまく言えないが、私は医師の言葉にあぜんとした。人はしばしば、真実を突きつけられるとそれを受け止めることができない。今でこそ、こうして診断結果の一部を開示しているが、一言で言えばショックで、私は診断結果を、一緒に行った仲間たちにうまく伝えられなかったくらいだ。私は昔会社で、機嫌がいいかどうか、歩いている様子を見ただけでわかる、と言われたことがあるくらい、気分のアップダウンが激しい。そしてそのことは私の悩みの種の一つだった。
私の弱点をを改善する対策として医師は、毎日ヨガや瞑想をすること、白湯をたくさん飲むこと、生姜やクミン、ニンニクやターメリックなどを摂取すること、毎日鏡に向かって2分間笑うことを推奨した。

アーユルヴェーダに一緒に出かけた4人が4人とも、全く違う診断結果を言われ、対策も、一人ひとり全く違うことを言われた。そしてそれぞれが、私と同じように、戸惑うほどピタリと当たっていると感じていたのだった! アーユルヴェーダの脈診って、いったい何物なんだ? と思った。まさに、奇跡のインド、である。
私はもともとカレーが大好きなので、ターメリックは摂取しているはずだし、ニンニクも生姜も好きだ。自然と自分の体質に合った食べ物を好んでいたようだ。しかし、納豆が好きで、かつ体にいいと思って毎日食べていたのに、避けた方がいいと言われてショックを受けていた人もいた。

日本に帰ってから私は、今までより頻繁にヨガをやるようになり、鏡を見たら、意識して鏡の中の自分に笑いかけるようにしている。1日2分間、鏡の前で自分に向かって微笑み続けることなんてできないので、代わりに鏡を見るたびに笑うようにしているのだ。鏡に向かって笑っているところを、他人に見られないように気をつけないといけない。

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