モーツァルトのレクイエムを歌う 2
今回のレクイエムの特徴は、ラテン語の歌詞をドイツ語訛りで読むということだった。ドイツ語はやったことがないが、第九などで齧ったことがあるし、ラテン語はカルミナブラーナなどの時にやっている。もともと、ラテン語の発音はそんなに難しくはないのだが、いくら合唱指揮者がラテン語の読みを教えてくださっても、さすがに一度ではなかなか覚えられない。歌詞もおぼつかないのに、音も一度聞いただけで覚えるのは難しい。覚えなくとも楽譜に書いてあるが、外国語で間違えずに初見で歌うのはなかなかに困難だ。それなのに毎回どんどん先に進んでいく。大丈夫なのかと一抹の不安を覚える。
それなのに、私は3月末に体調を崩した。そしてそこから約3か月間、練習をまるまる休んだのだった。もちろん3月末の時点では音取りは一巡していないし、言うまでもなく私が休んでいる間にも、どんどん進んでいく。もうだめかな、とも思ったが、いざ体調が回復したら、いつもの楽観で、まあ本番は年末なのだから、なんとかなるよと私は考えた。
私が練習に復帰した頃には、音取りは一巡めが終盤に近づいていて、失ったものの大きさを感じた。ただ、最後のほうは歌詞やメロディの繰り返しもあり、なおかついちばん最後の曲は、真面目に練習に通っていたころにやった2曲目、キリエ(正確な発音はかなり違うが、便宜的にこう表記した)のメロディそのものだった。これなら大丈夫かも、と安易に思った。
そして7月になると、後期の団員の募集が始まった。後期の団員を募集するということは、今からやっても間に合うということだ、と私は自分を励ました。実際には、後期は一から音取りしたり、発音の練習をしたりはなかったので、おそらく経験者の男性などが加わったのだろうが(成人女性の団員の後期募集はなかったと思う)、後期にも一応、頭から曲をやり直したので、結果的にさらうことができた。ただし、私が前期で休んでやらなかったところは、夏休みのインド旅行と被っていたため、後期の練習の時にも結局休んで、さらえなかったのだが。仕方ないのでその部分は、CDを聞いて自分でさらった。
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