”書きたいことがあるって、強い!” ~【イベントレポ】どうやってエッセイ作ってるんですか?~

2023年3月14日、note主催のイベント「ぼる塾・酒寄さんに公開取材!どうやってエッセイ作ってるんですか?」にオンライン参加しました。

このイベントは、「どうやって作ってるんですか?」シリーズの第2回。第1回は、又吉直樹さんにしずる村上さんが”小説の作り方”を聞く、というものでした。

今回は、ぼる塾の酒寄希望さんに、村上さんが”エッセイの作り方”を聞くという内容。(相方の田辺さんも友情出演されています!)

 ● 面白い、笑えるエッセイを書いてみたい
 ● 読みやすい文章のコツを知りたい
 ● ぼる塾が好き、お笑いが好き
そんな方に、特におすすめのイベントです。

とっても楽しく、ときにじんわりと沁みるお話が聞けましたので、よかったらこの先も目を通してみてくださいね。

■ ぼる塾の結成秘話

まずは、今回のゲストである酒寄さんをおさらいしましょう。

【酒寄さんの年表】
● 2012年:田辺さんとお笑いコンビ「猫塾」を結成
● 2019年:お笑いカルテット「ぼる塾」を結成
● 2020年:noteでエッセイを書き始める

ご存じない方もいるかもしれませんが、「ぼる塾」は実は4人組。酒寄さん&田辺さんの「猫塾」と、あんりさん&はるかさんの「しんぼる」が合体した、お笑いカルテットです。
酒寄さんは、ぼる塾結成時は育休中で、現在も産休中。そのため、テレビで見るのは3人の状態なんですね。

「お笑いカルテット」って、やはり珍しいみたいです。結成したとき、どんな感触だったんでしょう?(会話が楽しすぎたので、インタビュー記事っぽく書いてみます!この面白さ、伝われ!)


田辺:最初は『いいの?!』って思ってましたね。酒寄さんが産休中だったので、3人で漫才をやっていたら、どうしよう、手ごたえを感じてしまって。…実はその間、私一人でネタやってたんですよ。「怒ると長州力になる」ってやつで。

村上:(笑笑)それはそれで、めちゃくちゃ見たいですけどね。

田辺:それでねー、どうしよと思って。あんりも組みたいって言ってくれてるし。でも酒寄さんは?って。私にとって、酒寄さんがいない人生は考えられなくて

村上:開始5分に出る言葉とは思えないこと言ってくるじゃないですか、田辺さん。

田辺:でもほんとにそうなんですよ。
 (中略)
だから私怒ったんですよ、『なんで3人で漫才やれって言ったんだ!どうするんですか!』って作家さんに。
そしたら『そんなの簡単だよ。4人で組んじゃえばいいんだから』って。


ケロッと作家さんに言われたことがきっかけで、ぼる塾は結成されたんですね~。

■ エッセイを書き始めたきっかけ

ここからはイベントの本題、「どうやってエッセイつくってるんですか?」について書いていきます。
まず、酒寄さんはどうして、エッセイを書くようになったのでしょうか?


酒寄:猫塾だったときに、田辺さんが、自分の面白い部分をあんまり理解してなくて。
27歳でギャルデビュー」してたりするのに、養成所のエピソードトークの授業で、なぜか「ベーグルが作れる」ことを武器にしていて。
それで作家さんから『田辺はおそらく、自分のどこが魅力的か分かってない。だから、相方の酒寄が代わりに田辺のことを話してあげな』とアドバイスを受けて。

村上:その頃からなんだ。

酒寄:はい。猫塾になってTwitterを始めて、告知だけじゃ見る人は寂しいかなーと思い、「今日の面白かった田辺さんの話」を紹介するとこから、田辺さんのことを書くようになりました。
ぼる塾になってからも、あんりちゃんとはるちゃんが、私が田辺さんの話を収集してるのを理解して、「今日の面白かった田辺さん」を二人が教えてくれるようになって。

村上:あー、現場から。

酒寄:はい。そうしたら田辺さんが、『そうは言うけど、あんりとはるちゃんもこんな変なことがあった』と教えてくれるようになって。で、面白いからTwitterで三人のエピソード呟いてたんですけど、どうしても140文字じゃ収まりきらないってなって。
そんなときにnoteさんのサイトを見つけて。私すっごい機械オンチなんですけど、すぐに書き始められて。
あと私が勝手に感じてるんですけど、一番文章が面白いフォントで表示されてる気がして(笑)

村上:あー!相性が良かったんだ、書いてて。
…もちろんTwitterの方も面白いんですけどね。

酒寄:あ、Twitterの方も面白い!

村上:いや、あんりだったら言いそうだなと思って(笑)


あんりさんの話に絡めているところ、とっても面白かったです!(笑)
その理由はアーカイブ動画を見ていただけると分かりますので、ぜひご覧ください。
酒寄さんは、作家さんからのアドバイスがきっかけで、エッセイを書くことになったんですね~。

■ 書くときに意識していること

酒寄さんの文章は、文を読むことが嫌いな田辺さんでもさらっと読めるとの話も飛び出しました。
では、酒寄さんは、書くときにどんなことを意識しているんでしょう?


酒寄:私が一番意識してるのは、とにかく分かりやすく読みやすく。普段本を読まない人とか、移動中でも読んで楽しめるような文章にしたいなって。
私がさくらももこさんのエッセイがすごく好きで。とにかく面白さを分かりやすく伝えていて。

村上:そこにルーツが一つあるんですね。
本の中で、オウム返しのように書くところあるじゃないですか。田辺さんの言葉があって、”田辺さんは「○○」と思ったんだと、私は思いました”って。その書き方がすごく分かりやすい。読みやすいですよね、小休憩があって。
それも意識してるんですか?

酒寄:そうですね、私猫塾のときに、お客さんに対してすごく不親切なネタ作りをしてたんですよ。分かりにくい。
すごく長い文章で一人がしゃべってたりとか、二人にしか伝わらないテンポの展開にしてたりとか。
私はとにかく、分かりやすさを重視しなきゃ面白さを伝えられない人間だということに気づいて。

村上:一番最初に気づけたターニングポイントはあるんですか?

酒寄:あっ、それが、ぼる塾の最初の方のネタを見たときかもしれないです。とにかくぼる塾のネタって分かりやすいから。


とにかく分かりやすく。なるほど!
気づいたのが、ぼる塾のネタを見たときっていうのもいいですよね。

■ 視聴者からの質問

最後に、質問に答えていただくコーナーがありました!エッセイを書く上でのヒントがもらえたので、必見ですよ。

【質問】簡単な文章って、どんな風に書いてますか?


酒寄:とにかく一文を短くするようにしてます。だーって書かないように。

村上:それは、漫才の時にだーって言っちゃってた悪い例を、とんないように?Twitterで140字で有効に書けたのを思い出しながら?

酒寄:はい。一文を短く、一つの文章の中に内容を盛り込みすぎないって感じにしてます。

村上:大事かもしれないね。なるほど、じゃあ短く書くことを意識して、「ここ行けるぞ!」ってときにぎゅっと書いていくみたいな?

酒寄:はい。ほんとに山田ナビスコさん(ぼる塾を作った作家さん)に言われたことなんですけど、「全部の文章を面白くしようとすると、逆につまらなくなる

村上・田辺:あ~!山田さん。

村上:これは文章をお仕事にされてる方も、気づきになるんじゃないですかね。漫才もそうですもんね。全部が面白いセリフじゃないですもんね。

酒寄:そこまでの流れがあって、そこでボケを入れるから面白いんだなっていうのが。

村上:じゃあそれは、漫才書くうえでもテイクバックできてます?

酒寄:そこはちゃんと意識してます。私すぐ小ボケ入れたがるんですけど、でもあんりちゃんに「ボケ数多すぎます!」って言われます(笑)


山田ナビスコさんの名言も飛び出しました。一文を短く、内容を盛り込みすぎない。ほんとに大事ですよね。

【質問】タイトル、オチ、どこから書き始めますか?


酒寄:面白かったこと書こうと思ってるんで、オチは決まってるので、着地点を決めてから書きます。で、タイトル最後です。

村上:じゃあ構成は頭の中で決まってるんですね。

酒寄:私は、オチ決まってからのほうが書きやすいんで。

村上:それは、オチが担保になってるから書けるってことですか?

酒寄:そうです、オチがあるから書き始められる


なるほど。たしかに酒寄さんのnoteは、オチの決まり方が半端ないな~と思ってました!特にこちらの記事は、オチがとにかく最高なのでぜひご覧ください。


【質問】どうやってエピソードを細かく記憶してますか?

たしかに!と思った質問。会話の一言一句、まるでネタのように書かれているので私も不思議に思っていました。


酒寄:私、ぼる塾に関しては記憶力がいいっていうのもあるんですけど。あとは、三人に許可を得てるんで、脳みそ4つあるんですよ。
なので自分が「あれ、ここどうだっかな?」というときに、三人に聞けるんですよ!で、そのとき三人それぞれの伝え方が違うので、そっからまた「このやり取りこうだったの?」と新しい発見があったりとか。

村上:じゃあ書くのは酒寄さんだけど、三人がサポーターというか、編集者に近い勢いで、新しい素材渡してくれるとか。ボイスレコーダー的に「こんなこと言ってましたよ」って教えてくれるし、っていう?
この書き方は、酒寄さんじゃないと書けないですね。

酒寄:でも、周りの方を題材にするエッセイを書く人は、恥ずかしいかもしれないですけど…「書いていい?」って言った方がいい、そのあと質問とか気楽にしやすいから。


たしかにー!そうか、酒寄さんの文章の臨場感は、みんなの記憶の新しいうちに三人に改めて聞いてたからなのか。納得ですね。

■ 感想

長くなってしまいましたが、ここらで締めようと思います。
書ききれなかったけど、面白い部分がたくさんありましたので、ぜひアーカイブを見てみてくださいね。

イベントに参加して、私が強く思ったのは、「書きたいことがあるって、強いな」ということ。
酒寄さんは、「田辺さんの面白さを伝えたい!」という強い思いがあって、書き始めている。伝えたい、届けたいという気持ちがあるからこそ、多くの人に読まれる面白い文章になっているんだなと感じました。

私もいつか、そんな風に伝えたいと思えるものに出会いたいものです!


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