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『Good Luck』はきっと、あなたの背中も押してくれる。

本記事は、キャリアスクールSHElikesの課題として「好きな本をおすすめしてください」をテーマに執筆しました。
添削を受け、加筆・修正しています。

誰しも、新たな挑戦をするときには不安を抱える。

挑戦する中で、「果たしてこの努力は無駄にならないだろうか?」「成功するだろうか?」と悩むことはあるだろう。
そんなときにはぜひ、『Good Luck』を読んでほしい。

この本は、アレックス・ロビラとフェルナンド・トリアス・デ・ベス、二人の著者により書かれている。2004年に出版され、世界的ベストセラーになった名著なので、知っている人も多いと思う。

一見子供向けの小説のようだが、自己啓発本に分類されていたりする、少し変わった本だ。
20年近く前の作品だが、私は時代を超えて読み継がれるべきだと思う。
これから、その理由をお伝えしたい。


運と幸運は、実はまったく違うもの

 
『Good Luck』は幼馴染の初老の男性、ジムとマックスが、公園で54年ぶりに再会するところから始まる。仕事も財産もすべて失い、運に見放されてしまったと嘆くジムを見て、マックスは運と幸運の違いが分かるか、と切り出す。

実は、運と幸運はまったく違うものなのだ。「運」はそうそう巡ってこないのに対し、「幸運」は誰でも自分の手で作り出せる。どうしてそう言えるのか、という疑問の答えは、マックスが語る「魅惑の森の物語」で明らかになる。

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「魅惑の森の物語」では対照的な二人の騎士、黒いマントのノットと、白いマントのシドが出てくる。二人は宮廷魔術師のマーリンに言われ、幸運をもたらすという魔法のクローバーを探しに、別々に魅惑の森へと向かう。

黒いマントのノットは、森の住人たちに魔法のクローバーがどこにあるか聞きまわるが、全員から「この森には生えない」ということを言われてしまう。そうしているうちに、ノットは自分が運に見放されているように感じていく。

最終的に、悪名高い魔女にそそのかされ、魔術師マーリンに騙されたと思い込んでマーリンを殺そうとする。しかし宮廷に戻った際、魔女が嘘をついていたことを知り、それ以降、人前に姿を表さなくなってしまう。

一方白いマントのシドは、ノット同様、森の住人たちに魔法のクローバーについて聞く中で、クローバーが生えない原因を教えてもらう。それを一つ一つ解決しようと、自ら行動していく。

森の乾いた土を掘り返して柔らかな土を敷き、湖から水流を引き、日が当たるように周りの木の枝を落とし、土の中の小石を取り除いた。
こうして、魔法のクローバーが芽を出す条件をすべて揃えた結果、シドは見事チャンスをつかみ、魔法のクローバーを手に入れることができた。

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この二人の騎士の対比によって、幸運をつかむために必要なことが、分かりやすく描かれている。

ノットは他力本願で、誰かに運を与えてもらおうとしか考えていなかった。一方シドは、森の住人に丁寧に質問をし、自ら行動に移すことで、幸運をつかむための下ごしらえを行っていた。

幸運とは労せずしてつかめるものではない、ということを教えてくれる物語なのだ。

だが、見事幸運をつかんだシドでも、途中で不安になっている描写がある。たった一人で行動しているので、下ごしらえをしているのは、広大な魅惑の森の中のちっぽけな場所。こんな小さな場所に魔法のクローバーは生えるのだろうか、という心配だ。

しかし、下ごしらえをしていることで、段々と自信がついてくる。一つ一つ下ごしらえをしていきながら、シドはいつしか、魔法のクローバーをはっきりと思い浮かべられるようにさえなっていく。

私と『Good Luck』の物語

「魅惑の森の物語」は、コツコツ下ごしらえをすることで、幸運をつかめるのだということを伝え、新たな挑戦をする人の背中を押してくれる。

かく言う私も、背中を押してもらった一人である。

私が『Good Luck』に出会ったのは小学生のとき。中学受験に向けて勉強している時期だった。第一志望としていた学校の試験はかなり難しく、勉強が嫌になることもあった。

でも『Good Luck』を読んで、「私は今、幸運をつかむための下ごしらえをしているんだ」と思えるようになり、心機一転、頑張ることができた。

中学受験後も、私は人生の節目節目で『Good Luck』にお世話になってきた。受験勉強だけではない。

大学生になって、何となくダラダラしてしまっていたとき、ふと本棚の『Good Luck』に目が留まった。誘われるように久々に読んでみたら、将来に向けて周りが動き出しているのに、私はまだ何も下ごしらえできていない、と思い知らされたのだった。


この物語は、あなたに続く

このように、『Good Luck』は私にとって、人生の伴走者のような存在である。挑戦しているときだけでなく、目標を定められずにいる状態でも、私の背中を押してくれたのだ。

「魅惑の森の物語」が終わった後に続く章は、”この物語は、あなたに続く”。この言葉が、まるで「あなたにもできるよ。」と言ってくれているように感じる。

人生における色々な挑戦は、いくつになっても不安がつきものだ。
なぜなら、人生を大きく変える可能性があるから。

それでも乗り越えなくてはいけないとき、『Good Luck』はそっと寄り添い、背中を押してくれる。

なぜだか目に留まる本は、人が無意識のうちに欲している情報を持っていたりする。かつての私がそうだったように。

だからぜひ、『Good Luck』をあなたの本棚の仲間に入れてほしい。あなたの人生で必要なときに、きっと力を貸してくれるから。

幸運は、自分の手でつかむことができる。そう信じて、一歩ずつ下ごしらえをしていけばいい。
『Good Luck』が伝えてくれるこのメッセージは、すべての挑戦する人へのエールである。


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