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あなたが五感を使ってみて

私たちは五感(視覚・聴覚・触覚・嗅覚・味覚)を通して、外の世界の情報収集をしています。
生まれたばかりの赤ちゃんの目は、まだはっきりとは見えていません。わずか数十センチ前のものしか見えません。それもモノクロのような状態でぼんやりと。いろんなものを見ているうちに、脳が刺激され、やがて物がはっきりと、歳を重ねるごとに色鮮やかに見ることができるようになります。

情報は、思考や感情のベースになります。
だから、今まさに感覚器官を使っている子どもには、いろんな経験をさせて感覚器官を洗練したい。感覚がぼんやりしている状態と、鮮明な状態では、入ってくる情報量も、質も、違うからです。

そしてね。こんなような話はこれまでも山ほどしていますが。
もしあなたが、今「子育てがうまくいっていない」と感じているなら、今日はこの言葉をあなたに送りたいのです。

「五感を使ってみて」

あなたは今日、何を飲みましたか?その味はどんな味だった?コップがくちびるに当たった時、どんな感触だった?一口目の味を覚えているでしょうか。心に染みるくらい、味わえましたか?

あなたは今日、何を見ましたか?見送ったパートナーの表情はどうでしたか?外にはどんな花が咲いていましたか?何色?それはどんな鮮やかなグラデーションでしたか?ほんの1秒でも2秒でも、うっとりした気持ちで眺めたでしょうか。

外の匂いはどんな香りでしたか?
何が聞こえたでしょうか。誰かの声や車の音、鳥のさえずり、木々が重なる風の音、何かの音がしていたはずです。

あなたは今日子どもに触れたとき、あたたかい体温を感じましたか?すべすべモチモチの肌を愛おしいと思って触れましたか?サラサラの髪を優しく撫でましたか?可愛い小さな手を握り返しましたか?


食事、掃除、仕事、子どものこと、パートナーのこと、親のこと、子どもの習い事、諸々手続きや支払い、通院、各所への連絡、必要なものの購入、リサーチ、仕事のスキルアップ、お金の管理…


私たちの毎日は、やらないきゃいけないことで溢れています。
追われて、何かをやりながらも、頭は次のことを考えています。あ、そうだ、あれやらなきゃ。これ忘れないようにしよう。あれはどうするんだっけ…?これで大丈夫なのかな。もしこうなったらどうしよう。これも決めないと。

少しも「今を味わう」ことがないまま、毎日を過ごしてしまうんです。

だから、いつも心がざわざわしています。かさかさしています。
いろんなことが不安になってきます。
考えてもわからないような未来のことが不安に思えてきて、その不安を解消したくて、その不安を子どもに押し付けようとします。

「◯◯してくれません(こんなこともできないなんて、大丈夫?)」
「◯◯が、できません(他の子はできているのに、なぜうちの子は?)」
「選択肢を増やしてあげたいんです(今のままでは人生を選べない)」

そうやって、安心感を得たくなってしまうんです。
(=子どもを変えようとしてしまうんです)

ご飯をしっかり食べて、ちゃんと早寝早起きができて、身の回りのことが何でもできて、礼儀正しくて、勉強が大好きで、進んで塾に行って、宿題をやって、いつも笑顔でいてくれて友達もいっぱいいて、得意なものがあって人より優れているものを持っていたら

…安心ですものね。

でも例えそれであなたが安心できたとしても、子どもは辛いでしょう。
子どもはありのままを認めてもらいたい、愛してもらいたい存在なのに「こうでなければいけない」と言われて(思われて)求められるからです。


それを全くしない親なんて、いないのかもしれません。
でももしあなたが、そのことで苦しんでいたり、もし子どもが、そのことで苦しんでいたりするならば、まずはあなたが今日という1日を、今という一瞬、一瞬を、しっかり味わって、噛み締めてみることです。

人は五感を使うことで「今」に戻れるからです。

今は、もう二度と戻らないと言うけれど
ほんの1秒前でさえ、「待って!」と大声で叫んでも、手を思いっきり伸ばしても、「止まれ!」って目をつぶっても

過ぎてしまうものなんです。

人の力ではどうにもならないものが、「時間」です。

あなたの今は、今しかない。
子どもの今も、今しかない。

今を感じて、今を味わって、今目の前にことを見る。想う。考える。


さあ、窓を開けて。
外の木々を見てみよう。
夕焼けや、雲の流れや、夜に移り変わる景色を眺めてみよう。

たった数秒。たった数分。
それで深呼吸してみてくださいね。

あなたは、あなたのままでよくて
子どもも、子どものままでいい。

あなたも、子どもも、もうたくさんのものを持っていて。不足は何もないの。だからあとは、それを五感を使って、感じるだけなの、ね。


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