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やりどころのない感情を感じられることもまた、ひとつの感情なのだと思った。

19時からの1on1で「瀬尾まいこ」さんの小説を紹介してもらい、さっそく読んでみた。

「幸福な食卓」

4人家族だが、みなそれぞれに課題を抱えている。
気になったのは、主人公たる佐和子も何かありそうだけど、明確には描かれなかったところ。
いや、描かれているところがすべてなのかもしれないし、やはり描かれていない部分で何かあるのかもしれない。

映画や小説をみるときは、たいてい、誰かに感情移入することになるが、今回はそれがなかった。

感情移入するには、少し設定が複雑だったような気がした。いや、設定だけが問題というわけでもないと思うけど。

読み終えた時に、何かの行動を喚起するでもなく、むしろ、モヤモヤとした感情に包まれている。

この感情をどう扱って良いのかわからず、いつものように「作品の感想」を探したくなったところで、一歩踏みとどまり、まずは自分の感覚を言語化することに挑戦している。

そういう意味では、どうにも簡潔に述べられない気持ちを言語化する訓練のようでもあるし、そもそもそうやって何か価値を見出そうしている姿勢を少し俯瞰する時間にもなったのかも。(と、それもまた俯瞰しようとしているところも…)

この直前に見たヨルシカのMVも、今回の書籍でも。
ちょっと待ってくれよ、そんなこと望んでないよ。と思わずにはいられない展開が待っていた。
最近は、もっぱら心が落ちる情報を極力遠ざけているので、まさかGWの最終日、自分でも明確に自覚できるほど疲労感がある状況でこんなダメージを負うことになるとは思わなかった。

この物語からプラスの面を見出そうとすればできないこともないとは思うけど、そんなに大きなプラス面でもない気がする。

とはいえ、どん底に叩き落されるかといえば、涙を流して止まらなくなるほどの絶望でもない。(感情移入できていないのが原因かもしれないけど)

とにかく、何年かぶりに小説を読んだ後で「何とも言えない感情」をどう扱って良いのかすごく戸惑っている。【戸惑い】という感情がもっとも適当な気がする。

でも、この自分の戸惑いこそが「誰かにとっての感想レビュー」として見いだされ、もしかしたら同じように戸惑う人と繋がるのではないかと思う。
これは、今朝読んだ(とても今朝のこととは思えない)「書く習慣」に書かれていたことの受け売りだけど。

すべてにおいて正解を求めてしまうこの時代、みんな「感想の答え合わせ」がしたいんです。 

 いしかわ ゆき著 書く技術 

そんなわけで、まったくおさまりの悪い感情を抱えながら眠ろうと思います。
答え合わせの後で。

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