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枯れ言葉 焚き火にくべる なお寒し

 寒い季節になると、決まった曜日に「たき火」の唱歌と共に給油車が巡回してくる。
 子供の頃、焚き火で焼き芋をするという本やドラマなどの話に憧れて、落ち葉を集めてやってみたことがある。全然、芋に火が通らなくて、がっかりして皮に焦げ目だけついた生焼けのサツマイモを焚き火から取り出し、結局、蒸して食べた。
 なぜ駄目だったのだろう。焚き火で焼き芋が出来るというのは、フィクションなのだろうか。それとも落ち葉の量が足りなかったのか。何かコツがいるのか。未だにわからない。
 私は、書いていないと禁断症状が出る病気なので(笑)、時折、その辺の紙切れに言葉を書き散らかす癖がある。思いつきの断片にすぎないそれらは、どんどん溜まっていって、処理に困る。
 すると決まって、これらを集めて何か形にならないかと考え出す。時間と労力を費やして、脂汗垂らして悪戦苦闘する。結果、継ぎ接ぎだらけの、袖が長くて丈が短いセーターなのか、片足しかないズボンなのか、何が何だかわからん姿になってしまって、諦める。
 そして、その枯れ葉のような言葉の紙切れは、自治体の焼却炉へと送られて火葬されることになるのだ。この繰り返し。
 何だか、どんなに落ち葉を集めても、焦げるばかりでいつまで経っても生焼けの焚き火の焼き芋みたい。

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