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invisible それはわたしと突き刺さる

英国ドラマ『マクドナルド&ドッズ 窓際刑事ドッズの捜査手帳』にがっつりハマってしまいました。(※ちなみに上の画像のおじさんは、主人公ドッズに雰囲気似てたもので……)
 とにかく丁寧に作られてる感があって、好印象。レギュラーもゲストも出演者にとってつけたようなアイドル風がいなくて、一般人ぽい容姿なのもいい。
シーズン3まで今のところ出てるらしいんですが、無料配信(Gでしかドラマも映画も見られない貧乏人なので、まだシーズン1しか見てません。でも、もう次が見たくて仕方がねぇ。


公式らしいのも載せとくわ。

 主人公は向かって右側のおっさんドッズなんだが、タイトルは、なぜかマクドナルドの名が先にある。なぜなんだろう? マクドナルドの方が肩書きが上だからか? それともレディーファーストなのか?

 ハゲ茶瓶、出っ腹、老眼の窓際おじさんドッズ巡査部長は、現代版コロンボと解説では評されているが、コロンボより清潔感はある。そして親しみやすい。あくまで私感だが。
 中高年が感情移入しやすいのは、間違いなくドッズだ。私もそうだ。だが、バリキャリ指向の上司マクドナルド警部(以下面倒なので「マック」)にも共感がわく。
 若くてイケメンなのに「イヤミ課長」で日和見的な上司、ハウスマン警視正の遠回しなパワハラに悩まされ、キャリアが傷つきそうになり図書館で涙ぐんで絶叫するシーンにはいたく同情した。
 余談だが、ハウスマンって自宅警備員みたいな名前。確かに保身一徹ってところが微妙なニュアンスで名は体を表すって感じがして、ちょっと笑った。
 同僚の若い刑事も、地味ながら良い味が出てる。ゲスト役者たちの演技も良い。
 1話目の富豪三女が最後の方で家の前で立ちすくんでるその立ち姿のリアルさといい、三女パートナーの告白シーンのリアルさといい、富豪親父のさりげなく俺サマーなところの「あるある感」。
 2話目の……あんまり語るとネタバレ何なるのでもう止めときますが、とにかくシナリオも役者も、とってもいいのです。

 ところで、タイトルにある目に見えない、不可視のという意味の「invisible」という言葉なんですが……
説明してしまうと、最後の最後、決めの所のネタバレになってしまう可能性があるので、以下、それでもいいよって人だけ読んでください。

「invisible」という言葉は、1話のラストシーンにドッズから発せられます。事件が解決して、マックがドッズに「あなたって刑事に向いてる」と評し、「どうして今まで誰もあなたの能力に気が付かなかったの」と疑問を呈します。ドッズは「わかりません……私はいない人間だったんでしょうな」と答えます。
 " I don't know……以下略……invisible."
 この「invisible」が物語の最後の言葉です。
 意味深です。
 この言葉は、ドッズという人物を一言で表しています。同時に物語のキーワードでもあるんです。見えない部分を調べて探り当てて推理していくっという意味で。
 事件の「invisible」の部分を「invisible」の人間であるドッズが見つけ「visible」にする。そして事件を解決に導き、その瞬間、ドッズ自身も、マックや若い同僚刑事たちから「visible」な存在となるわけです。

 この「invisible」という言葉は、私にとっても意味深でした。これが聞こえたその瞬間「ああ、これは私だ」と思ったんです。
 正直に言えば、ドッズ台詞の「以下略」って部分は、聞き取れなかったんです(恥汗)。英語力がチンパンジー……いや、ニホンザル(何とか日本語はわかると思っているから)なレベルなもんで。
 なのに「invisible」だけは、不思議なことに、ちゃんと聞こえた。
 木枯らしのようにカサカサと乾いて、ナイフのように冷たく鋭く、なんとも言えない寂寥感を含んだ軽い痛みを伴って、私の中にすっと入ってきた。
 それは、私が「invisible」だから――なんでしょうか?

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