昼メロは死なず深夜に去り潜む
これはもう〈夜メロ〉だね。昼じゃないから。
昔、平日の昼下がりに放映されていたソープドラマ――和名〈昼メロ〉がTVから消えて久しいですが、新聞の番組表を見るともなく眺めていて、気が付いた。いつの間にやら深夜ドラマ帯で復活しているではないか。
サレ妻の夫への復讐のドラマとか、不倫ドロドロものとか……
「奥さん!」
「ダメよ、私には夫が、子供が」
ってなベタ展開のドラマは死んでいなかった。
ただし、昨今は、浮気妻や身勝手妻、モラハラ妻など問題妻にサレ夫、貞淑夫、真面目夫どもが鉄槌を下すドラマも散見される。時代は変わった。
そう、時代が変わったから時間帯も変わったんだ。だから、現代のソープドラマは、深夜枠なんだ。専業主婦がそれだけ減ったってことなんだ。今や既婚女性が外で働いているのが当り前の社会になったってことなんだ。
昼間は家に居ないから、見れない。だから既婚女性が家に居る時間帯の夜に放映されるようになったんだ。
ふむふむ、世相ネタで誰かが本を1冊書きそうだ。いや、社会学の論文が出そうね。今時なら。
ところで、なぜ昼メロが全世界的にはソープドラマって言われていたのかっていうと、番組のスポンサーが家庭用洗剤メーカーだったからなんだって。
確かに日本でも花王とかライオンとかがスポンサーだった。家庭用洗剤は、番組ターゲットの主婦が興味を持っているもので、買うものだからということだったんだろうね。
今じゃ、専業兼業問わず主夫やお手伝い夫も選んで買う。
さらにところで。タイトルのネタ元となったセリフ「老兵は死なず。ただ去りゆくのみ」と言った方が戦後日本に出張ってこなかったら、現在の日本も随分と違っていたかもしれない。
こちらは誰かが1冊ではなくて、たくさん題材にした本があり、現代史の論文もたくさんある。SFに片脚突っ込んだIF小説もいくつかあった気がする。昼メロよりネタのスケールがデカいもんね。インテリジェンス度も高いし、書く方も読む方も何となく格好がつく。
物語に階層があるとしたら、ソープドラマより明らかに社会的地位が高い。品性が良い感じがする。
でも、カッコ悪くても、品が悪くても、やっぱりゲスネタ話はいつの世もしぶとく存在する。
web漫画は、まさに夫婦、家庭、男女、ママ友などなど……ゲスネタ花盛り。よくもまあ、これだけっていうぐらい。そして、それを原作として夜メロドラマが作られる。
ほんと、人間のゲスい性がある限り、夜ドラマ、死なずって感じだな。
〈追記〉
そもそも、時間帯問わず、リアルタイムでTV番組を見てる人って、今時、どれだけいるの?
ドラマに限らずTV番組はネット配信で見る人がほとんどなんじゃないかな。家に何時いようが関係ないよね。会社で昼休みに、あるいは通勤途中に電車の中で、スマホ視聴なんて人もいるだろうし。
かく言う私もTV番組はネット視聴派。っていうか、そもそもTVがない。TV所有していない人ってのも、今時、多そうだなぁ。