聖夜ならシングルベルに祝福を
たぶん日本だけの風習かもしれない。「聖夜(クリスマス)とは、恋人たちはイチャこらしなければならない」とされている。
特にイブは恋人たちがホテルにしけ込む日である。今年はイブが日曜日なので、イブイブの土曜日(あっ。上皇さまの誕生日やで)やイブイブイブの金曜日がカップルのホテル稼働率が高いような気がする。
でもさ、考えてみると神聖な夜に愛か見栄か本能か定かではない――いや、全部の要素が詰っているのか。場合によっては、愛だけはないか、薄いこともある――ほにゃららな行為に勤しむのは、不謹慎な気がしないでもない。
そんな人たちに神様は、祝福を与えてくれるのだろうか。むしろ、一人で清く過ごすシングルにこそ神は祝福を授けてくれないんだろうか。
するってぇと、そもそもクリスマスって神の子であるキリストさんの誕生日を祝う日なんだから、人の子の俺らも誕生にまつわる行為をするのは、むしろ神の祝福を受けんじゃね? という屁理屈が出てきそう。まあ、「シングルに祝福のジングルベルを」ってのも屁理屈だが。
またそもそも、キリスト教徒でもない日本人(キリスト教徒の人は除く)がクリスマスに祭りするのは、お水商売の人たちが集客のためにイベント的なことを始めたのにリーマン諸氏がどんちゃん騒ぎしたくて群がったのが発端らしい。それがある年のイブだかクリスマス当日だかが日曜日になったため、その年は、リーマン諸氏が当時はハイカラで高かったケーキを買って家庭サービスに転じたところ、それが定着したという。要するに日本人、堂々とケーキを食う口実が欲しかったのよね。
そう考えると、日本独特のクリスマスの有り様も(ついでにバレンタインも)、外来語は何でもカタカナにして、外来の風習や技術も神や仏も全部、自己流に都合良く扱いやすくアレンジしてまとっちゃう日本人の性質が産んだ本家本元とは違った全く別モンの日本独自の習慣なんだ。きっと。
……でも、コロナ禍を経て、この風習も変わってんだろうか。コロナ前と後じゃあ、社会が随分と様変わりしちまってるから。いや、その前からとっくに若いコスパ世代には、支出が大きい「ホテル聖夜」は廃れているのかね?
余談だが、クリスマスって元々そのあたりに収獲感謝祭みたいなことをする風習があったんだって、何時だったかどこかで読んだ記憶がある。西洋の新嘗祭みたいなもんか。日本にも元々あった収獲を祝う風習があって、新嘗祭はそれに通じてるみたいだし。(ウィキ参考)
新嘗祭までは新米を食ってはいかんということだったそうだ。お祭りで自然の恵みに感謝して新米を食う。だが、現代は新米は収穫したら即流通。11月の新嘗祭の前にみんな食っとるがな💧。
おお。そうか。だから、西洋新嘗祭もどきが発端のクリスマスにケーキという旨いもんを食う機会(大義名分というか言い訳)を与えてくれたキリストさんに感謝して、ケーキ🎂やチキン🍖を食うんだな。うん。納得。