感想「がんになった緩和ケア医が語る「残り2年」の生き方、考え方」関本剛著

緩和ケア医とは、がんそのものの根治を目指すのではなく、病気によって生じる疼痛や苦痛を緩和させる目的をもってかかわる医師のことである。この本では「緩和ケアは『楽に長生き』してもらうためのお手伝いをしている」と書かれている。
そんな緩和ケア医が40代の若さでステージ4の肺がんになってしまう。がんになって初めて知ることや、がんになったことを公表したことで患者さんとの信頼関係が築きやすくなったことなどについて書かれている。
また、緩和ケア医の患者さんに関わる方法は一般的な内科などとはどうやら異なるようである。
このように書かれている。「患者さんが自分語りをはじめてくれれば、面談は成功したも同然なのだ。ある患者さんの人生を振り返っていく回想作業は、『ライフレビュー』と呼ばれる。『人生にとってのハイライトシーンはどこですか』そう聞かれたとき、人は『よくぞ聞いてくれました』と語り始める」
風邪などひいたときに病院を受診すると、このようなことは聞かれることはない。雑談に交じって人生の振り返り作業を行うというのが、高齢者のがん患者にとってはどうやら意味があるようである。一方で、若年のがん患者にはこのようなことはやらないらしい。「生きる意味や将来どうなるか考えるよりも、今この瞬間を充実して生きる、そのことに集中したほうが患者さんの心を安定させることができるというわけだ。『昨日のドラマ、みましたか。あの展開はないですよね』『あの有名なレストランに行くんですか。ぜひあとで感想を聞かせてください』ごく普通の生活を送れることに感謝しながら、一日、一日を大切に生きる。これも立派ながん患者としての過ごし方だ』
これらの知見は、自身が診察してきた患者からの所感と、自身の体験としての所感から得られたものであろう。

どうしてこのような本を手に取ったかというと、自分の家族がステージ4のがんと診断されたからである。
この本を読んで、日常を生きることの大切さを改めて学んだ気がする。

また、家族や医療者が、病気の話だけではなくその人自身の日常の話や雑談を取り入れていくことも重要なのだと分かった.

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