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家庭の仕事はなぜ会社の仕事より書き出しやすいのか

 Xでときおり俎上に載せられる話題がある。子育てとか家庭の仕事はこれだけあるけど、会社の仕事なんてこんなもんでしょ? といってとてつもない偏見が込められた時間割を見せつけてくるアレである。

 家庭の方はもりもり書き込まれていて、会社の方はちょろっとしか書き込まれていない悪意満点の時間割。フェミニズム的文脈の話題なので語るのが憚られるのだが、それを読んでいて私の脳裏に疑問がわいた。なぜ彼女ら(あるいは彼ら)の書き出した仕事は、家庭と会社であれほど多寡があるのだろう。

 攻撃の意図があるからわざとそうしているのは分かるが、どちらの経験もあれば、会社も家庭も仕事量的にはイーブンになることが理解できそうなものだ。どちらにもそれぞれの地獄があるのだから、気遣いあっていきたい。

 とりあえず安直な理由を考えてみれば、それは専業主婦だから仕事のことなど分からないのだろうとなる。だがそれだけなはずがなかろう。あのような書き込みをするものはもれなく専業主婦だというのは暴論だし、統計なんて取れるはずもないので根拠も提示しようがない。専業主婦が会社の仕事を想像できないというのも偏見だ。

 そこで私ははたと思いついた。なら自分の偏見ベースでもいいから、一度私自身であの時間割を書き出してみようではないか。自分で書き出してみれば両者が量的にはイーブンであり、その性質が異なるのだということが示せそうだ。子育てはしたことがないが、書籍やXのポストなどから摘まんでこよう。

 なるほど、子供を起こしてやり弁当作りやら身支度やらを済ませ、朝食の様子や排便から子供の体調を見積もってやり、幼稚園に送り(あるいは登校を見守り)、洗い物をして掃除機をかけ、買い物にでかけて夕飯の材料を集め、自分の用事をあれこれ済ます。経験のない私でもたっぷり書き出せる。

 それに対して会社の仕事はというと、出勤してタイムカードを切り、メールをチェックして予定を閲覧し、そこから……とここで手が止まった。ここから先は日によって内容が変わるのだ。早速会議が入っていたり、作るべき資料の作成に勤しんだり、業務に関する調べ物をしたり、あるいは手隙の時間があったりと、家庭の仕事に比べてパターン化がされていない。

 パターン化されている業種もあって、朝はこれ、昼はこれ、とキッチリ決まっていることもあるだろう。だがそれでも量が書きだせない。仕事は順番がパターン化されておらず、それぞれの業務は工程が細かすぎていちいち書き出していられないし、それに守秘義務もあって書けないこともある。

 私はここにポイントがあるのだと感じた。家庭の仕事に対して、会社の仕事は書き出しにくいのだ。それに仕事に名前が付けられなかったりもするだろう。これに関しては「家庭だって名前のない仕事が仰山あるんだ!」と反感をもらいそうだが、それにしたって会社の仕事は名詞化しづらい。

 つまり、会社の仕事は書き出すという点において不利なのだ。不利な土俵で戦っているのだから、量的多寡が生まれても不思議ではない。

 ……それだけだ。書こうと思い至ったときはもう少しちゃんとした結論があったのだが、忘れてしまった。だからこれでおしまい。

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