【デジタル時代のリスキリングの大本命】データをビジネス・投資に応用する型③ 分類:ビジネス編

③分類

分類はビジネスでも投資でも、一丁目一番地である。分類して意味のあるグループに分けることで、はじめて具体的かつ有効な打ち手を考えられるようになる。

同じニーズをもったお客さまをうまく分類できれば、ビジネスがうまくいく確率を大きく上げられる。類似のパーソナリティをもった社員をうまく分類できれば、会社をうまくまわす確率を大きく上げられる。そして、市場の変化に対して株価が同じように反応する企業群をうまく分類できれば、株式投資をうまくやる確率を大きく上げられる。
 
分類するための統計手法としては、クラスタリングを用いる。
まずはビジネス編として、事業の責任をもつ常務執行役員と、大学院でデータサイエンスを学んだ新入社員・綾小路美来のやりとりを見てみよう。舞台は次なる打ち手を検討している、アミューズメント事業である。 

◆ビジネス編「人間の個性・欲求・価値観の定量化」

常務執行役員「アミューズメント事業部の店舗どうしようか、今考えてるんだよ」
綾小路 美来「新店ですか? データから見ると、日本は、ほぼほぼ出し切っている感じがします。これからは海外進出がいいんじゃないですかね。東南アジアとか。私行きたいです!」

常務「残念ながら、新店の話ではない。店長の話だよ」
美来「店長ですか……それにしても、東南アジア行きたいな」
常務「東南アジアは別途だな。まずは日本でやるべきことをやってからだ」

美来「了解いたしました。まずは店長ですよね。店長といえば、配置ですね」
常務「おー、よくわかるな。店舗のタイプに合わせて、いちばんいい店長を配置したいんだけど、現場の声を聞いてもゴチャゴチャして判断しにくいんだよ」

美来「店舗のタイプって、たとえばどんなのですか?」
常務「たとえば、地域一番型みたいに、その地域でいちばん認知されてるタイプとか、オープン型といって競争が非常に厳しいタイプとか、逆に閉鎖型といって自社以外ほとんど競合がいないタイプとか、そんな感じかな」
美来「よくわかりました。オープン型にイケイケの店長を配置するとかってことですね」
常務「Exactly。なんでわかるの?」

美来「その前に、なんで英語なんですか?」
常務「アミューズメント事業は海外進出考えてるからね。最近、英会話もやってるんだよ」

美来「おーー、それはテンション上がりますね。ここはしっかり土台をつくりましょう」
常務「I can’t agree you more!」
美来「常務、英語で言われるとわかりにくいので、普通に日本語で話しましょう」

常務「そうだな。思わず出たらごめんね。話し戻すと、店舗のタイプは現地で見ればわかるんだけど、店長のタイプはわからないんだよね。何かできることある?」
美来「これは、明らかにクラスタリングですね」
常務「聞いたことある。自動でグループに分けてくれんだろ」
美来「自動ではないですけどね。大事なのは、どのデータを元にグループ分けするかです」
常務「Uh-huh(アハン)」

美来「今回は、店長をイケイケとか、堅実とか、チャレンジャーとかに分けたいと思うんですけど、そのためにどのデータが使えるかが最大の悩みですね……」
常務「そうか、データがなけりゃ、そもそも分けられないもんな」
美来「ちょっと、パパに確認します」
常務「英虎教授か、頼むよ。くれぐれもよろしくお伝えください」

・・・

美来「常務、わかりました。最近のAI(人工知能)の技術を使うと、書き言葉から、その人の個性・欲求・価値観を定量化できるようになってるそうです。たとえば、外向性・協調性・知的好奇心・保守性といった特性が、数字でわかるということでした」
常務「おー、そうなんだ。書き言葉でわかるの?」

美来「書き言葉には、その人の個性がすごく出るという話でした。人のマネをして文章書くのって、ほぼ不可能みたいです」
常務「たしかにそういわれると、文章見るとどんな人か大体わかるね。これは、おもろーだね」

美来「おもろーは置いといて、営業さんの日報のデータがあったんで、これで全部分析しました」
常務「早いな」

美来「で、ほぼ仮説どおりでしたが、イケイケタイプの店長がオープン型店舗、堅実タイプの店長が閉鎖型店舗を担当しているときの売上が、統計的に有意に高かったです」
常務「よし、すぐ配置転換するぞ」

美来「ひとつおもしろかったのは、地域一番型の店舗には、チャレンジャータイプの店長が合うってことで、やっぱり1位になってもチャレンジャー精神を忘れてはいけない、ということかと思いました」
常務「そうだな、地域一番店だと、ついつい守りたくなっちゃうだよね。これも肝に銘じておこう」

美来「ちなみに、常務の個性も分析してみました」
常務「えっ?」

美来「常務は、外交的で知的好奇心が非常に高く、変化許容性も高い。一方、現状維持が大嫌いという感じでした。すごく当たってますね」
常務「これすごいな。他にも使えそうだ。新規事業担当役員にすぐ連絡するよ。サンクス。英虎教授に今度ワインごちそうしますって言っといて」
美来「パパ、白ワイン大好きだから、喜びます」

クラスタリングとは、「もし視覚化できれば、人間の目と直感で行なうことができるであろうグループ分けを、視覚化できない多数の変数から自動的に行なうための手法」である。

ビジネスにおいてグループに分けることは大変重要で、うまく分けることでグループの特性にあった個別の対応がとれるようになる。ビジネスの一丁目一番地を、クラスタリングを用いてうまくやっていただきたい。


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