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【デジタル時代のリスキリングの大本命】水平思考その3 アナロジーを使う

その1で、うまく発散するための水平思考には3つの方法があるという話をした。

㋐視座を変える
㋑アナロジーを使う
㋒前提をアップデートする

今回は、㋑アナロジーを使う について説明する。

※元々の文脈を確認したい場合はこちら

㋑アナロジーを使う
アナロジーとは、「ある事柄を元に他の事柄をおしはかって考えること。特に、論理学で、物事の間の特定の点での類似性から、他の点での類似性を推論すること」である。

たとえば、「QBハウス」と「俺のイタリアン」。表面上この2つのビジネスには、ほぼほぼ共通点はない。あえて無理やりいうなら、B2Cでコンシューマー向けのビジネスくらいだろうか。

一歩踏み込んで、ビジネスコンセプトを考えてみる。QBハウスは、カットという散髪における最もコアな領域のみに絞り、他は捨て、安価にサービスを提供している。一方、俺のイタリアンは、食材というレストランにおける最もコアな領域のみに絞り、他は捨て、安価にサービスを提供している。これより、この2社は一見まったく違うビジネスをやっているが、コンセプトレベルでは類似性があることがわかる。

このように、類似性がわかると応用力が拡がる。このケースの場合は、「最もコアな領域のみに絞り、他は捨て、安価にサービスを提供する」ことで成功している、複数の業種の企業がある。
「それなら、これを自分の業種に展開できるのではないか?」と考えるのが、うまいアナロジーの活用方法である。

アナロジーは複雑でよくわからないことを理解しようとしたときに、強力な武器になる。

私が戦略コンサルタントのチームを率いていたころは、新しい領域の仕事をやるときに、「なんかいいアナロジーない?」と、まずはチームみんなでアナロジー探しをやっていた。

ここで重要なのは、探すのはアナロジーで、似たような先行事例ではない。アナロジーと非なる言葉に、ベストプラクティスがある。ビジネスの文脈では、「特定の領域における最良の先行事例」という意味で使われる。何かやるときに、ベストプラクティスは参考にすればいい。少なくともベストプラクティスでできているところまでは、がんばってできるようにしよう。
勝負はそこから先の未知の世界である。未知の世界を開拓するためには、既知の別の世界にある物事の「踏み込んで考えるとやっとわかる類似性」をうまく使おう、というのがアナロジーの活用である。

アナロジー力を強化するための3つのオススメについて述べる。

オススメ①難しい話はたとえ話を使ってわかりやすく伝えよう
 あなたの仕事を知らない知人に、仕事上の難しい話を、たとえ話を使って話してみよう。あなたに、お子さんがいる場合は、とてもいいチャレンジになると思う。相手が何を知っていて、どのようにたとえると伝わるかを考えるので、視座の変換にも役立つ。
ちなみに私は、小学生の子どもに「パパ、どんなしごとしてるの?」と聞かれたので、「スパイだよ」と言ったら、「かっこいい」と言われた。これは悪い例である……

オススメ②会話の中で物事をまとめるトレーニングをしよう
 物事をまとめるには、「要するに」という言葉を使うのが有効である。また、帰納法は個別具体的な事象から抽象的な結論を導く論証なので、帰納法を意識して活用するのもよい。
「要するに」については、これが口癖になっている人もいる。ただ、そういう人は単なる口癖になっていて、「要するに」と言いながらまったく要約してないケースも多々あるので、注意が必要である。

オススメ③格言を自分で創ってみよう
 格言は、短い言葉で物事の本質を表現しており、抽象度高く本質をつかむという観点から、アナロジー力を上げることにつながる。まずはいろいろな格言に触れるのがよいと考える。
そのうえで、ある程度のコツをつかんだら、ぜひ自分で格言を創ってみよう。これは他の人に役立つような、すごいものでなくてよい。自ら創った格言は、自分が今後生きていくうえでの拠り所になる。


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