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京都、丹後で、土に還るシルクマスクを作りました。

丹後は昔ながらのサスティナビリティやエコの要素が、日々の生活の中にもたくさん詰まった地域です。

例えば、丹後の多くの人が、本業の商売や会社員などの仕事の他に小さい畑を持ち、自分で野菜を育てたり、海で魚釣りや海藻を採ったり、山で山菜を採ったり。

採れすぎた時にはご近所や友人に野菜や魚をおすそ分け、自然に物々交換も。

水道の蛇口をひねれば水道ではなくて井戸水が出るところも多い。

そして丹後ちりめんの産地の丹後では、最上級の絹織物が子供の頃からずっと身近にあって、着物や布をとても大切にします。

丹後ちりめんはもちろん天然素材、正真正銘の絹100%の正絹。

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今年の初め、1月、ニットの仕事でイタリアに行った時、展示会で繊維に携わるイタリア人の職人さんが洋服を手にとり、      

『これは地球に、土に還らない』

と、つぶやいていて、それがずっと私の中に残っていました。

天然素材でも、ほんの少しでも化学染料が使われると、土に戻せない、と。

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フィルタンゴ は丹後ちりめん、天然素材の絹をそのまま受け継いていますが、サスティナビリティ、エコなどについては自分の中でいろんなことがまとめきれず、 商品やフィルタンゴ のコンセプトに置き換えることが今まで出来ていませんでした。

きっといろいろ迷っていたんだと思います。

アパレルのニットの仕事を長く続けていたので、ビジネスの歯車の中で疑問を抱きながらも、頭の中で整理することができなかったのです。


そして........イタリアから日本に帰国後すぐに新型コロナ発生。

繊維の仕事をしている私に待ったなしに突きつけられた地球の問題。。。


丹後と丹後ちりめん、そして改めて地球に向かい合ってこの数カ月で考えたのが、この土に還るマスクです。

どんなにマスクが売れている時期でも、フィルタンゴ でマスクを売り出そうとは思っていなかったのですが、いろんな経験やいろんなことが結びついて、フィルタンゴ ならではのマスクを作って販売するに至りました。  

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天然素材の絹、蚕はタンパク質、その昔、蚕は食料としても貴重なものでした。

シルク、絹は食べることができるんです!       

口元に直接触れるマスクは、口に入れても安全な素材で作りたいと思っていました。

そして丹後で精錬された自然の白生地そのままを使用、化学染料で染めることなく、織りの模様の際立った、肌にも優しい、白くて美しいマスクができました。


作ったのは白のイメージで3柄。

花嫁の白無垢をイメージしたSAKURA、桜柄

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ウエディングドレスをイメージしたSARASA、西洋更紗柄

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神社の神主さんが着ている装束をイメージしたKIKA、幾何柄

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マスクの形は長方形をベースにしているため直線、生地のカットロスはほぼゼロ、生地を捨てないで使い切る、という昔ながらの着物の作り方、裁断を参考に、マスクのパターンを考えました。

縫い糸も土に還るように綿糸と絹糸を使いました。

裏側ももちろんシルク、羽二重という着物の裏地に使うとても薄い絹の生地を使っています。

こちらの羽二重は福井県産、きめ細かく密度の高い織りは、

サラサラの肌ざわり!

羽二重餅というと、ピンとくる方がいらっしゃると思います。

口当たりがなめらかな羽二重餅、この羽二重のきめ細かい繊細な風合いをイメージに作られたお菓子、お餅です。

このシルクマスク、とにかく着け心地が優しくて肌に負担を全く感じません。

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私たちはもう半年以上、マスクをつけています。

いくつかのマスクを買って使って、私は気になったポイントがいくつかありました。


*ポリエステルなど合成繊維自体の匂いが辛い。

*合成繊維は、蒸れやすい、長時間つけた時の匂いも気になる。

*麻、コットンなどは繊維が短いので、何度も洗っているうちに毛羽立ってきて、鼻がムズムズ。


シルクマスクはこれらのデメリットが全くありません。

絹は乾きやすいため天然の抗菌防臭、

繊維自体が長繊維、一本の長い糸から作られているので毛羽立ちもなく、一日中気持ちよく過ごせます。

洗濯してもびっくりするほど早く乾きます。なぜなら絹は繊維自体に空洞があります。顕微鏡で見ないと見えないミクロの世界なのですが。

シルクマスクをつけ始めると、ちょっと他のマスクがつけられないくらい、着け心地が気持ちよかったのです。


そして丹後ちりめんの白生地の反物を包むための紙で、マスクケースも作りました。

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悩んだのが、耳にかけるひものこと。

ひもも絹で、と思いましたが、どれも着け心地が良くなく、

またメガネをかけたり音楽を聴いたり、イヤリングとか、意外にたくさんのものが耳にかかっていて、これ以上耳に負担をかけるとちょっと苦しいかなと思い。

紐は伸縮性のあるナイロンの細い紐を使いました。これだけは土に還りませんが、あまり無理をして不便なことになるよりも、まずは無理なくできることから、と思いました。

なので紐は取り外し可能。捨てるときには燃えるゴミで。

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KIKA 幾何柄は男性にぴったり。

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西洋更紗柄は華やかな印象。

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ちょっとかしこまった服を着たり、大事な仕事の時にカジュアル感を出したくなかったり、お気に入りのお出かけ着で装ったり、

そんな時にもシルクマスクは、絹ならではの品の良さが一目でわかるし、

どんな洋服の色でも合わせやすい白色のマスクは、洋服のコーディネイトが決まりやすいのです。


さて、本題の土に還るシルクマスク、

土に還ると名前をつけたからには、何年かかってでも自分で検証しないと、ということで実家の庭に埋めてみました。

畑ではなくて庭です。土の状態は普通かなと。

オーガニック農家さんの畑だと、微生物やいろいろたくさんで、土が発酵して暖かく、シルクが分解されるのが早いんじゃないかなあと思いつつ、いきなりお願いするのもと思ったので、いずれまた。

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楽しみです!

まずは年末に一度掘り起こしてみたいと思います。

filtangoフィルタンゴ の土に還るマスクは BASE にて販売中です ☺︎

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