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ある技術者との出逢い

中判カメラの人気

ここ数年、中判カメラ人気が凄いようでオークションなどでは一部の機種が高騰しています。10年も経たないうちに価格が倍になっている機種もあります。例えると7、8年前にある中古中判カメラはレンズとボディセットで東京の某有名カメラ店で10万円前後で販売されてましたが、最近では25万円以上に高騰してました。自分も所有してましたがこんなに高騰するとは知る由もなく今思えば随分安値で売ってしまいました。知ってたら大事に保管してたんですが、まさかこんなに人気が復活するとは当時思いもしなかったです。

人気の理由

でも何故そんなに中判カメラは今になって人気があるのでしょうか?数年前に一気に人気が出たのがRolleiFlexのような二眼レフ中判カメラでした。これらが流行った理由は恐らくInstagramの流行が一役かったのではないかと推測出来ます。Instagramは真四角な写真になりますがRolleiFlexに代表される二眼レフは6x6サイズといわれ出来上がった写真は真四角になります。35mmフィルムカメラでは表現出来ない画像サイズを中判カメラに求めた方が多かったのかもしれませんね。そして中判カメラはRolleiFlexのような6x6サイズ(真四角)ではなくていい場合は6x7サイズで代表されるASAHI PENTAXの中判カメラである6x7や67と言うモデルにも人気が移ったのだと思います。これは一眼レフですが一般的な一眼と違いボディサイズが倍ほど大きく「バケモノみたいに大きいPENTAX」ということから「バケペン」などと呼称され女性に人気があるようで「バケペン女子」などというタグも見受けるようになりました。そう言った意味では昨今の中判カメラ人気は若い女性をはじめとする若者世代の方々が牽引役となってくれてるのかもしれません。

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メンテナンスの現状

自分が今一番危惧していることは先に述べた中判カメラはメーカーのメンテナンス保証期間は殆ど、どのメーカーでも終了していて故障しても対応が難しいケースが多いいうことです。つまり「故障=ただの鉄の塊」になる危険性をはらんでいるということです。PENTAXは67IIという最終モデルの中判カメラを販売してましたが2009年9月を持って生産を終了、部品交換を伴うメンテナンスを昨年2019年9月で終了してます。今はメーカーに修理をお願いしても部品を交換するような修理は請け負って頂けないということです。状態のチェックや清掃関係は今でもやっていただけますが、古い機種の部品はむやみに外してしまうとそれが原因で故障箇所を生んでしまうこともあるらしく分解清掃はリスクもあるようです。ですから結論は「大事に使う」「部品取りの固体を確保しておく」「自分でもメンテナンス出来るようにしておく」などが挙げられます。先に述べた価格高騰はメーカーのサポート終了も大きく関係してると思われます。

修理専門店

しかし、ではもう全くダメなのかというとそんなことはないようです。理由は部品供給は終わりましたが、その全ての部品が廃棄された訳ではないからです。数多くの部品は修理専門店に払い下げられてるケースが多い様で、その修理専門店で今後は対応頂く格好になるのです。修理専門店とは色々ありますが街のカメラ屋さんで色んな機種を修理出来る方もいらっしゃいますし、各メーカーをご勇退された技術者の方が仲間同士で運営されている修理専門店もございます。ニコンの技術者の方々で構成されたキィートスさんなどが有名ではないでしょうか? 部品が無い場合は修理自体が不可能な場合もありますが、部品を製作してご提供下さるケースもありますので万が一、修理が必要な場合は伺ってみるのが良いかと思います。

技術者の方の現状

ある日、自分の所有するカメラに不具合があって所謂、メーカーをご勇退された技術者の方のお店にカメラを持ち込み修理頂いた時に伺った話ですが、今は以前に比べてフィルムカメラの修理・調整が非常に多いそうです。勿論、デジカメの修理も有るのですが、劣らずフィルムカメラの修理依頼が多いようです。作業場には様々な測定器が存在していて流石は元メーカーの技術者と頷ける光景だったのを覚えています。ここで修理・調整して貰えば10年は普通に安心だろうと考えた程です。しかし其の方は既に70代とのこと。この先、何年今の仕事が続けられるかが問題だと仰っていました。技術の継承の機会も設けておられるようです。しかし技術というのは数ヶ月、数年で取得出来る訳ではないため、なかなか厳しいのが現状のようです。(完璧な修繕じゃないと日本のお国柄では許されませんからね) メーカーというのは利益を生み続けることで存続可能なのが大前提ですので、世の中がデジタル化になれば、かつて時代を一世風靡したフィルムカメラの製造は中止されても仕方がない流れです。しかしMade in Japanが主流だった昭和時代の精巧機器はやはり段違いに精度の高い職人魂の詰まった製品が非常に多いと思います。この物作り文化で生み出された日本の傑作たちをずっと世の中に残して欲しいという思いが自分にはあります。この技術者の方も思いは同じでしたが、次世代の修理職人を育てるには資金的な問題になるようです。充分な報酬を得られる仕組みではないと、なかなか担い手も現れないとのこと。自分が今回、Noteに参加したのは、この問題をなんとか解決する術はないものだろうか?何か良い知恵はないのだろうか?と言うのを探したくて開設した経緯がございます。自分がお金持ちでお金をスポンサーみたいに出してあげられるなら問題解決ですが、そんな訳であるわけもなく、これからまだ現役の技術者の方々が元気な内になにか手掛かりを見つけたいと考えてます。頭の中には、ある構想はありますが資金的にも環境的にも簡単な構想ではないので今はなんとも言えません。皆様の思いやアドバイスを頂きながら具現化出来る日を夢見てみようと思います。これには、先ずはフィルムカメラの存続とより一層の人気を期待しフィルム自体の存続を切に願う思いの元に成り立っています。

皆様にサポート頂いた資金は全てフィルム・機材購入費及び活動費にありがたく使わせて頂きたいと思います。フィルムと日本の精巧技術の保持に貢献出来ると考えられる事には積極的に投資して行きたいと考えます。