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映画『犬王』、エンタメ古今東西。

犬王 ホームページより

大胆不敵にも琵琶で奏でられるのはロックだ。それにあわせて軽業やサーカスばりの空中曲芸を披露し、バレエからブレイクダンスまで自由自在に踊る犬王。終いにはプロジェクションマッピングまで飛び出し、民衆たちは歓喜し、手を叩き、踊る。そう、これはまさにロックフェスだ!

この物語にはお馴染みアイコンたちが登場する。ジミヘン、マイケル・ジャクソン、Queen、イギーポップ、デビッド・ボウイといった具合に。しかしながらエンタメには流行り、廃りがあるように明日は我が身。どうなるのかは分からない。まさに諸行無常だ。本作はそうした古今東西の生まれては消えていった無数のエンタメへの愛、現在も進化し続けるエンタメへのリスペクトに満ち溢れている。

何と言っても犬王の声を担当したアヴちゃんなしには本作は成立しなかっただろう。友魚を演じた森山未來とのバディ感がとても良く、ふたりのロックフェスは平家の霊魂を鎮め、民衆とともに作りあげる盆踊り的なノリなのがとても良かった。こんな逸材がいるとは。まだまだ映画が足りない。

湯浅政明監督作品はこれが初めてだったが、ちょっと監督のことを勉強しなくては。とんでもない作品をこれまでにも作っているはずだ。表現の可能性や限界に挑んでいる監督に違いなく、室町時代にロックフェス、プロジェクションマッピングをやってしまったりと、いい意味でやりたい放題だ。大胆な発想と演出は犬王そのものであり、既成概念を破壊するアニメ界の革命児なのだろう。

湯浅監督は間違いなく今後もエンタメを進化させていく。そして彼の表現は今日も模倣され、また新たなエンタメが生まれようとしている。




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