【番外編】改札鋏の話
拙ページをご覧の皆さんの中にも、インターネットの動画投稿サイトで、30年以上前の新宿駅の改札口の様子を撮影した動画をご覧になったことがあるかと思います。
切符を切らない間も、調子を取るために駅員さんが鋏を動かす、カチカチという音がなんとも懐かしい貴重な動画です。
拙写真集にも改札風景の写真はありますが、残念ながら手もとや鋏(改札鋏)が写っている写真はありません。
下の写真は2009年秋、「江戸東京たてもの園」で開催された特別展「甲武鉄道と多摩」の会場で撮影した、元駅員さんの年季が入った手もとです。
ところで半年以上前の話になりますが、いつものようにネットオークションサイトを眺めていたところ、「27」の刻印がある一丁の「改札鋏」を見つけ、幸いほとんど競り合うこともなく入手しました。
現在ではほとんどの駅が無人の自動改札やSuicaになってしまいましたが、かつては駅ごとに異なる形状の切り込み(入鋏痕)を切符に入れて、不正乗車を防止していました。
前橋駅の入鋏痕は、富士山型と言いましょうか台形をしており、これは「首都圏27」と呼ばれるもので、今回入手した改札鋏は前橋駅で使われていたものとは思いませんが、資料として入手した次第です。
お世辞にも良い状態ではなかったため、入手後スチールたわしで錆を落とし、クエン酸で表面洗浄の後、ガンブルーで黒染め処理を行いました。(余談ですが、改札鋏の落札額より、洗浄・黒染めの費用の方が嵩んでしまいました)
JR前橋駅では改札鋏の使用は廃止されましたが、上毛電鉄では現在でも中央前橋駅をはじめ、有人駅で改札鋏が使われています。
各駅がどのような形状の入鋏痕になっているか、ぜひ切符を観察してみてください。
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