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フィルム・コミッション直送便(77)【支援も一つの物語】

先日、一年半ほど撮影準備をしていた作品の愛媛ロケを逃しました。全編愛媛県ロケを敢行しようと昨年からロケハンを重ね、イメージづくりに県内を奔走し、シーンについて意見交換までし、作品公開後のプロモーション作戦まで描きました。それが昨夏にコロナウイルスの影響で撮影は一時中止、誰のせいでもなく悶々とした状況に意気消沈もしましたが、「また来年!」と気持ちが切り替わると、関係者一同“異様な盛り上がり”があったのを思い出します。

それから秋が過ぎ、冬が過ぎ、春になると関係者との連絡も再び活発になりました。撮影されることを確信していたので止まっていた準備も仕切り直しで始めていました。関係者・協力者には「改めてよろしくお願いします!」などの連絡をして準備万端へもう少しという段階で、またコロナウイルスが蔓延しはじめて進捗に暗雲がたちこめました。そして撮影は苦渋の決断で愛媛県ではなく他で行われることになりました。

撮影の中止、中断はFCにとって日常で、数多くの作品に携わる中で一つの作品に一喜一憂するのは自分が疲れるだけとわかっていますが、撮影支援から作品のPR策、地域への経済効果や上映後の展開策まで関係者らと話していただけに、思い起こすとただただ残念に思います。今となっては作品が無事に撮影を終えて、多くの観客から支持を得て愛されるのを願うばかりです。

先日のJFCアウォードで表彰された作品もある中で、このような紆余曲折を伴う作品もあります。ここまで携わると、自分が“劇中劇の登場人物”になった気がしてなりません。FCを扱った作品は一つしか知りませんが(その一つの作品には各地のFCがエピソードを提供しました)、撮影誘致支援の悲喜こもごもは十分に観客の興味を引きつけると思います。

ジャパン・フィルムコミッション
https://www.japanfc.org/

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