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デジタルとフィルム雑論

カメラについて色々考える…

2017年から本格的に写真趣味を始めて、早いもので4年目に突入しようというタイミングになりました。
たった一台の、それも写ルンですの延長線上にある様なカメラから始まった趣味ですが、今では結構な数、フォーマット、形式のカメラが集まり、それらを使いこなそうと日々努力している次第です。

さて、現代において、一般人が持ちえるカメラは圧倒的にデジタルカメラだと思います。
コレに対して、よもや過去の遺産の様に扱われている節もあるものの、ほんの20年前まではスタンダードだったのがフィルムカメラです。
僕のうっすらとした記憶では、小学校半ばまで我が家もフィルムカメラ(確かオリンパスμ)を使っていましたが、あるタイミングで故障したのを機にデジタルカメラに変わったのでした。

個人的にデジタルカメラとフィルムカメラは全く別のものであると考えています。
風景や景色等を絵的に記録するという到達点のみは共通ですが、アプローチも生み出す結果も違うカメラであると言うのが僕の考えです。
現代的な風潮で「デジタル=万能」という見方がありますが、僕はコレは大いに間違った考え、見方だと思ってます。
個人的に思うのは「デジタル=便利」です。コレは万能とは全く意味が異なります。

僕はフィルムカメラに対するデジタルカメラを「何かと便利なカメラ」と位置付けて使用しています。
対してフィルムカメラを「基本的・基礎的なカメラ」と位置付けています。
ここから先、あくまでも僕のカメラ観のみで話が進みます。かなり偏った内容になってますので、ご注意くださいね。

個人的フィルムカメラ観

フィルムカメラというのは言うなればカメラの基礎だと思っています。
遡れば写真乾板だなんだと色々あると思うのですが(いずれはやって見たいですが…)とりあえずはフィルム以降にとどめます。

フィルムカメラは当然フィルムを用いて撮影を行います。
となると、フィルム・カメラの性能を引き出すべく様々な事を考えねばなりません。
例えばなるべく絞りを開けたいなら感度の低いフィルムを詰めるべきですし、絞り込みたいならその逆です。
一度フィルムを詰めたら基本的に撮り切るまでは取り出せませんから、その辺りもきっちり考えてフィルムを入れたり、また撮影場所の光の状態によっては絞りとシャッター速度のバランスを考えて撮影せねばなりません。

こうした要素はデジタルカメラでも当然要求されますが、一方でデジタルカメラでは撮影後直ぐに絵が見れる事、何より撮影と削除が簡単な事で、学習的トライアンドエラーというよりも、とりあえず綺麗に撮れるまで撮ってから要らない写真を削除という場面が多くあります。

その結果としてシャッター速度や絞り、感度について理解もないけど何となく綺麗に撮れてるから良いや、というノリの撮影が散見される訳です。
現代においてはもはやそれが最適解なのかもしれませんが、そういう人間に限ってSNSなんかで露出補正ダイヤルを指して「こんなダイヤル使わないよ」などと呟いていたりする訳です。
僕からすれば「この人なに言ってるんだ…?」ってなります。
わからないのは良いと思うのですけど、知ろうともしないでそういう事を言うのは、なしだと思うのです。

さらに、デジタルカメラが覇権を取った後にこんな風潮が芽生えてきました。

「フィルムカメラはデジタルカメラに劣る」

コレについても半分くらいは異を唱えたいところです。

フィルムカメラがデジタルカメラに劣るとか、写りがノスタルジーであるというのは、僕の中では大きな間違いだと思います。
コレはいわば「レコードはCDに劣る」みたいなものに近い様に思います。
大抵、フィルムカメラは特徴的な写りをして面白いという人の写真は、不適切な露出バランスで撮影したか、ストロボを直射している事が多く、機材の話をすれば写ルンですと言った廉価な機材を用いている事が多いです。(とはいえ写ルンですは、対費用効果は圧倒的なカメラですが…)

それらのカメラはいわば「その場をある程度凌げるカメラ」でしかない訳で、たしかに価格や構造からすればかなり性能の良いカメラですが、適切な写真を撮れるカメラではありません。
それらで撮った写真のみをサンプルに「フィルムカメラはデジタルに劣る」と言われるのは正直言って不愉快でしか無いのです。

フィルムカメラがデジタルカメラに劣るのは便利さと経済性です。
しかし、その他は劣らないと考えています。
適切な機材を適切な設定で使えば、フィルムカメラもデジタルカメラも殆ど差の無い結果が得られます。
フィルムカメラをファッションアイコンやアイテムとして扱ったり、フィルムっぽいと称してセピア調に粒状ノイズをかけた様なデジタル写真をアップするのは大いに結構ですが、僕の中では醒めるだけです。

僕はフィルムカメラを使う事は写真撮影の基礎を学ぶ為のいわば「修行」の様なものだと思っています。
撮影中の光線条件や被写体周辺、ファインダー内の状況と、使用しているフィルム、レンズの仕様をよく考えていかに上手く思った通りに撮影できるか、24〜36枚という撮影枚数の中で一枚一枚それを組み立てて実行し、現像後に答え合わせをする。
コレを繰り返して写真撮影というものを理解していこうと思っているのです。

個人的デジタルカメラ観

さて、散々偉そうにフィルムカメラについて語ったわけですが、一方でデジタルカメラも一眼レフだけで6台所有しています。
僕の中でもデジタルカメラの出番もそれなりに多くある訳ですが、先述の通りデジタルカメラは便利なカメラです。では一体何が便利なのでしょうか。

デジタルカメラはまずフィルムを用意しなくても良いので、経済的に非常に楽です。
今時1万円前後の大容量メモリーカードを用意すれば、普通の人なら1年は持つのでは?というくらいに多くの写真を撮影・記録・保存して置けますよね。
また、撮影した写真をその場で確認できる事が殆どで、撮影の成功失敗の判断がその場で出来る訳です。
完成系の写真をやり取りする場合もカメラからPC、最近だとスマホにも転送出来るため、撮影後直ぐに写真のやり取りが出来ることも魅力的な要素です。

フィルムカメラより便利なところを上げていけばかなりの量になる事は間違いないデジタルカメラ、僕は急ぎで撮影結果が欲しい時と、どうしても失敗したくない撮影の際はデジタルに頼る事があります。
特に撮影係や依頼の場合はデジタルが基本です。

デジタルカメラの場合、フィルムカメラよりも少々冒険した撮影をする事が多いです。
例えば大口径レンズをつけて既に日が暮れた街で撮影をする際、あえて低感度で手ブレ限界ギリギリを狙って撮影する時、フィルム機よりも1段アンダーで撮影し、編集で補正するというやり方です。
フィルムの場合、光量不足の場合不完全な写真になる確率が非常に高いですが、デジタルの場合は意外と耐える事が多いです。

また、感度を可変出来るため、手ブレギリギリの設定にならざるおえない時に感度を上げて撮影に余裕を持たせるという手法も出来ます。

これらはデジタルだからこそ出来るという面が多く、非常に便利です。
これらの便利要素は非常に良い意味で役に立ちます。実際これらの要素のおかげで助かる事も多々ありますからね。
また、フィルム時代には成しえなかった連写速度や撮影支援機能もデジタルカメラには多数付くようになりました。
これもまた写真技術の進歩であり、便利なものが多いです。

最後に

大変雑にあれこれ書いてきましたが、僕の思っているのは「デジタルカメラもフィルムカメラも同等の物であり、便利さと経済性でデジタルカメラが優れるものの、写真を記録する能力はどちらも基本同じ」という事です。
そして、その場その場で便利な方、特性上優れる方を選択し、使い分けています。
ファッション的にフィルムカメラをぶら下げて歩くのは大いに結構です。それもまた使い道だとは思いますので。
でも、せっかく決して安くはない値段で手に入れたのならば、その持ちえる性能をフルに発揮させてみるというのも良いと思うのです。
もしかしたら、フィルムカメラに対する価値観、カメラに対する価値観、写真に対する価値観が変わるかも知れませんから。

帰宅時間
PENTAX MX+SMC PENTAX M 50mm f1.4

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