映画感想「怪物」

是枝裕和最新作、しかも坂元裕二脚本となればその化学反応に期待せずにはいられない。

飽きずに最後まで鑑賞した。が、なんだろうか・・・この消化不良感。面白かったのかと問われると正直首をかしげたくなる自分がいる。

結局のところ、人間ドラマとしてこの物語が深ぼるべき対象はあの少年2人の人間関係に他ならないはずなのに、その物語的探求が浅いと感じてしまった。

サスペンス映画として、まずは大人の目線(「怪物」探し)で客を欺き楽しませること、つまりは物語の構成の妙は理解出来るのだけど(大人の視点からこの物語を見せることの効果は理解できるのだけど)、あの少年二人の人間関係に作者が託すべきなにかしら切実な問題や独特の熱量を感じることは出来ず、既視感があったとも言える。

親から虐待を受ける少年と、その少年に淡い恋心を抱く少年ー二人のいわば逃避行であり、その逃避行の中に二人以外誰にも触れられない世界があり、その世界をどう描くかが重要であるはずだが、どうも表層的な表現になってしまっている印象が拭えず、そこに作者のエモーショナルな表現衝動を感じることが出来なかったのは自分だけだろうか・・・。

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