Bounty Dog 【アグダード戦争】196

196

 ヒュウラとリングとヒシャームは、3棟の1階に辿り着いた。シルフィ達と軍曹も、4棟の応接間から通信機の電話とカメラ機能を使って2体と1人の様子を見守る。
 ヒシャームは大きな遊技場を幾つか通り抜けて、ヒュウラ達と戦闘した十字路まで戻る。十字の中央で止まると、天井に付いている小さな押しボタンを、背負っているヒュウラに押して貰った。
 2棟側の壁の一部が、大きな音を立てて扉の無い部屋の入り口に変わった。カメレオンのように擬態していた”凶悪防犯女”ことラドクリフ邸防犯システムの制御機器がある部屋を、亜人2体は繁々と機械が見えない角度から観察すると、ヒシャームに向かって物凄く真面目に、中にカメレオン女が居るのか、そのカメレオン女は丸焼きにして千切って2人で食べて良いか尋ねた。
 ヒシャームは大笑いしながら『カメレオンを食うから出せ』と戦闘前にいきなり珍味を要求してきたヒュウラは、防犯機械をカメレオンだと勘違いしているのだと理解した。カメレオンでは無く機械だと亜人達の勘違いを正そうとしてやると、機械が未だに良く分からない2種の亜人は、大分前に”通信”というモノをシルフィ達に聞いた時に、1番納得した答えと同じだと思い込んだ。
 此れも、ノリである。軍曹があの時教えてくれた。人間は凄いなと純粋に尊敬した。人間は勢いだけで、凶悪攻撃をしたり壁を落としてくる、透明な何かを作り出して遠隔攻撃出来る。やっぱり物凄く恐ろしい生き物だとも、2体共に大真面目に思った。

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