Bounty Dog【Science.Not,Magic】51-52

51

『キって、俺、聞いた事あるんだよなあ』
 セグルメントが呟いた。続けてルシパフィが呟く。
『植物の総称の1つでしょ?』
『木じゃねえよ』
 紅志はレシーバー越しに漫才を聞かされていた。無視する。同じくずっと無視しているシルフィから受ける指示だけに耳を傾ける。
 相棒の男は新しい相棒を得たようだが、赤い忍は興味が無い。亜人課の指揮官から許可を得て、虎の子供から人間の子供に保護対象(ターゲット)を変えた。カイ・ディスペルを追う。相手は鼠の亜人ローグを連れて、コンテナとコンテナの間を器用に走り通っていた。
 紅志はコンテナの上から子供達を追う。カイは己に勘付いていない。ローグも己に勘付いていないが、鼠の頭の上に季節外れの雪だるまが乗っている事が気になった。
 溶けていく雪だるまから滴り落ちる冷たい水で、濡れ鼠は「うきゅクシュ!!」と独特のクシャミをした。カイも「ぶへーくしょん!!」と豪快なクシャミをする。もう1つの存在はクシャミを全くしなかったが、カイとコンテナ1つを挟んで、同じ方向に走っていた。

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