Bounty Dog 【アグダード戦争】219-220

219

 正体不明の独裁者・麻薬奴隷商会の長イシュダヌは、商品の奴隷から出た『不良品』を処分するのに邪魔なコルドウを駆逐して不良品処分用の地雷を埋めたいという極めてエゴな理由で、アグダード地帯の土を猛毒にして、この土地で生きている全ての存在を滅ぼそうとしている。
 シルフィは保護組織の支給品通信機をスーツのポケットから2つ取り出すと、ミトに1つ投げ渡してきた。アグダードに来る前に使っていた、新人保護官の時にデルタリーダーに使い方を教えて貰った通信機を再び握り締めて、ミトはコルドウとアグダード地帯の全体保護という緊急最重要任務に意気込む。シルフィは早速通信機を使って、何処かに連絡を始めた。ミトが聞き耳を立てると、シルフィは『世界生物保護連合』3班・亜人課の情報部隊員に、アグダード地帯のイシュダヌ潜伏先候補の建物を、衛星スキャニングで地図化するように依頼していた。
 通話を切って、直ぐに別の場所にも電話を掛けていた。騒がしい雑音と共に、軍曹並みに輩っぽい喋り方をする男性の声が機械から漏れ聞こえてくる。その男性も組織の人間のようだった。その人に対してシルフィは、デルタリーダーがヒュウラと組んでいる時に良くしていた、地図と通信機・発信機を用いて行う現場担当者への目的地の誘導(ナビゲーション)の仕方を詳しく聞いていた。
 その人は、やたらに「クレイジー」を連呼していた。口癖が「クレイジー」のおじさんっぽい男の人との通話を終わらせると、シルフィは軍曹と数分程会話をしてから、部屋を出て行く。ミトもヒュウラとリングを連れてシルフィの後を追おうとして、ふとヒュウラが見ている先を一緒に見た。
 ヒュウラは仏頂面で、軍曹とピエロ黒布を凝視していた。

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