Bounty Dog 【清稜風月】6-7

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 その女は、黄色味が強めだが白い肌をしていて、肩まである少し長い黒色の髪を二つ括りにしていた。白と薄紅色の迷彩服の上に、白銀の西洋鎧を付けている。
 腰に白いオートマチック銃を2丁、革製のホルスターに入れてベルトで固定していた。チェリーレッド色の目をしていて、その目は櫻國の山の一角から、ランタンと双眼鏡を使ってある場所を見つめている。
 藁で作られた屋根をしている大きな一軒家に付いた木製の煙突から、白い煙がモクモクと立ち上っていた。まろやかで優しい不思議な料理の匂いを嗅ぎながら煙を凝視している謎の女は口角を大きく上げると、双眼鏡から目を離してから、背中に貼り付けている黒い団扇を引き抜いて手に持った。
 『ヒュウラLOVE』と、色紙を切って作った世界共通文字で書かれている。裏返すと『煎餅あげる』とハートマーク付きで別の文字が書いていた。
 ”推し単独応援用団扇”を愛おしそうに見つめてから背中に刺し戻すと、極めて危険な空気を噴き出しまくっている黒髪ツインテール女は、待ち受け画面が保護組織3班支部のミトの部屋で煎餅を食べながらテレビを見ているヒュウラである『世界生物保護連合』専用通信機をポケットから取り出してから、非常に高い音程の声で独り言を喋り出した。
「そう!推しはずっと私を無視!!でもマイダーリンであるヒュウラ君はそういうクールな性格だって事、私は既にプロファイリング済み!!
 ミトは此処には居ない!!コルクラートのお姉様リーダーから直々に御命令を頂き、遂に漸くチャンスが到来して参上したのです!この私!!
『世界生物保護連合』3班・亜人課、現場部隊保護官コノハ・スーヴェリア・E・サクラダは、全力全霊全愛、全てのLOVEをフルバーストして”私の希少種”ヒュウラ君を、邪魔者を漏れなく冥土にGOさせて、あらゆる脅威から御守り致しますわ!!ほーほほほほ、YES!ミー、キャン!!」

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