Bounty Dog 【清稜風月】241-244

241

 同じ星の上に存在しながら、東洋と西洋ではあらゆるモノが非常に大きく異なる。自然環境や、自然と共に生きながら日々進化している多くの生き物達の種類に加えて、人間という同じ種の1生物ですら、東洋と西洋ではまるで別々の惑星に住んでいる存在であるかの如く、何もかも違う。
 例え理不尽な脅威が無い安全な土地で生まれ暮らしやがて死ぬ人間同士であっても、東洋の人間と西洋の人間では常識という基本的価値観すらが大きく異なる。世に起こる様々な超常現象を”神”もしくは”神に選ばれし者”または”神に背き邪悪に堕ちた者”が起こすものだと考えるのは、西洋の人間達。一方で東洋の人間達は、超常現象が起きると”自然”が起こしたモノであると考える。もしくは”自然の中に溶け込んでいる偉大な存在”が起こすもの、更に”偉大な自然的存在を操れる存在”も起こせる特殊能力だとも考える。
 超常現象そのものも、東洋では認識の幅が非常に広い。風が突拍子も無く一度吹いただけで、東洋の人間達は其れを自然に溶け込む偉大かつ神秘的な力ーー『霊』が起こした現象だと考える。

242

 ーーお願いします。どうかヒュウラを、天国から保護してあげて下さい。ーー

243

 彼女を保護してくれる存在は、ミト・ラグナルが『天国』と呼ぶ場所には誰も居なかった。既に彼女の兄姉が虹の橋を渡っている、もしくは洞窟を潜り抜けているが、今の彼女を脅威から救ってくれる存在は、冥土では無く此の世で共に生きている人間達で、亜人では無かった。
 1体を除いて。

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