Bounty Dog 【清稜風月】20-21

20

 木々の枝を踏み台にして、跳ね飛びながら高速で一軒家まで辿り着いた。ずっと日雨を横抱えしていたので腕が少し痺れているが、今は何も抱えていないので腕の休憩もついでに出来ていた。
 ヒュウラは一軒家まで単独で戻ってくると、家の床が酷く汚れている事に気付いて警戒する。持ってきていたクビキリギス軍団入りの風呂敷袋を1つ家の中に投げ入れてから、家の中に侵入して居間に置いていた煎餅入り葛篭を回収する。
 虫軍団のジージー大合唱は聞こえるが、銃声は家の中から全く響いてこなかった。弾も飛んで来ないがヒュウラは日雨よりも遥かに軽い葛篭を、中に入っている煎餅を全て取り出してから空の状態で担いで家を出て、走りながら周囲に撒いている10個の爆竹を、火が付いたままの状態で葛篭の中に3個だけ拾って入れていった。
 爆竹の導火線は、あと数分で爆発する長さまで短くなっている。葛篭が爆弾の火で燃え上がってしまう前に、ヒュウラは木々の枝を跳ね飛んで、日雨を置いている山道の穴まで高速で帰っていく。
 家の中に取り残された袋の中の虫達がジージー、ジージー、延々と大合唱をしていた。山の端にある2ヶ所で音が違う銃声が響く。暫くしてから狼煙が2本同時に消えた。
 密猟者は残り3人。虫亜人殺しの毒狼煙は消えた分を追加されて、別の場所から直ぐに噴き上げられた。

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