Bounty Dog 【清稜風月】139

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 主人と準主人よりは下にすると決めている。3番目に高い位置にいるのはシルフィだが、シルフィと同じ位置に置くか、更に下に置くかで、ヒュウラは睦月の事について悩んでいた。
 ”ノウ”ことコノハは『煩い』という共通点があったので、人間の服と服屋という謎の箱とセールという謎の人間の祭り云々で頻繁に騒ぎ騒ぐモグラのミディールと同じ子分位置に速攻配置して定着させていた。犬科の亜人の脳内では、縦の形式で己と己が関わった人間達と亜人達の順位が構築されている。東の島国『櫻國』で出会った睦月・スミヨシという人間の男は、ヒュウラの中で未だ”友”では無かった。だが”友”では無いものの己にとっては櫻國に来てから今まで世話になっている人間であり、やがて”友”として扱う事になるのだろうと思っていた。
 一方で、既に”友”だと思っている櫻國で出会った存在も1つ居る。己より3年早く産まれ、己よりも遥かに早いだろう3年後に必ず死ぬ虫の亜人・日雨は”友”だった。ヒュウラの脳内順位では相手が『図々しい』のでミトやリングと同じ位置に置かれているが、日雨は何となくであるが順列が付けられない特別な存在でもあると、狼の亜人は思っていた。

 睦月・スミヨシを先頭に、コノハ・スーヴェリア・E・サクラダとヒュウラが後を追う形で事件現場から移動した。町の端にある槭樹・イヌナキの自宅であり通称『イヌナキ城』と呼ばれている櫻國文化材の外門前広場に辿り着くと、睦月が抱いていた不穏な予感が現実になっていた。

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