Bounty Dog 【アグダード戦争】238-239

238

 最大の難関を”全員生還”という目的の形で突破した。ヒュウラとリングとミディール達コルドウは、燃え上がる火の広場を、激しい熱風を浴びながら繁々と観察する。
 人間では絶対に突破出来ない場所だった。コルドウだけでも無理だったかも知れない。青紫色をした猛毒の煙も彼方此方から噴き上がっていた。毒が風に乗って此方側にやってこないように、亜人達はそそくさとその場から離れていく。今ヒュウラ達が居る場所は、ミサイルを撃つ人間達には死角になっている『イシュダヌ城』の堀の直ぐ傍だった。
 ヒュウラはリング達と小走りで移動しながら、仏頂面で再び地獄の広場を眺める。端から端まで広場の地上を焼き尽くしている炎は、永遠には燃え続けないだろうと思った。毒の煙も。地雷は、ほぼ全てがミサイルに巻き込まれて喪失していそうだった。
 口角だけ上げる不器用な笑顔を微量だけする。コレもヒュウラの目的だった。後から己を探してやってくるだろうミトや軍曹達人間勢も、この”ゴミ人間の棲家”にすんなり入れるように施しておいた。

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