Bounty Dog【Science.Not,Magic】83-84

83

 ーー本当に、私が彼を危険な状態にしてしまったなんて。ーー

 虎は”キ”が文書で指示してきた通り、人間達の目を避けて港から会社まで移動してきた。テムラ社を見上げて、縞模様付きの尻尾を左右に振る。ガルルル、ガルルル唸ってから、壁に近付いて大きくジャンプした。
 猫の亜人と同じ能力を持つ虎の亜人は足首の関節を捻って、足裏をビルの壁に付けた状態で垂直に登り始めた。スイスイ壁を登ってから、開いている窓を潜ってビルの内部に侵入する。
 窓の奥にあった部屋の中で、虎は中央に設置されている大きなベッドに向かう。敷き詰められた葉っぱを掻き分けて、土入りのマットレスの上に寝転がった。大きな欠伸をする。ガルルル、ガルルル何度か唸ってから、夜行性の化け虎は3度目の眠りに付いた。

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