Bounty Dog 【清稜風月】82-84

82

 脅威の存在は、ヒュウラ達にとっては便利な存在でもあった。主である槭樹から命令を受けて城の警護を強化させた櫻國人達の誰1人にも影すら見せずに、西洋の隠密は慣れたように天守の中を移動しながら、作業をテキパキと行なっていた。
 作業をこなしている間、少年はこの小さな島国に住んでいる人間達は病的に平和脳だと心底に思っていた。消音器(サイレンサー)を装着した己の愛用武器である黒い大型拳銃で4、5人は冥土に逝かせているのに、誰も彼もが「あいつ居ないけど何処に行ったんだ?」と呑気に喚く程度で、微塵も死体を探そうと行動しなかった。
 此処まで任務がしやすい国は滅多に無いと、少年は大いに歓喜した。天守での作業を何の問題も起きずに終わらせると、屋根の上まで跳ね飛んでから次の作業場である二ノ丸へと駆けて行った。

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