Bounty Dog 【アグダード戦争】217-218

217

「はい。ええ、そうです。手は既に施しました。我が勢力にとって邪魔にしかならないものは早々に『不良品』として退場して貰う。それは勿論、当然です。基本方針ですから。
 はい……はい。……え?……ラー(いいえ)。何でもありません。はい……はい。……そうですか。とても行動がお早い。………………流石はあなたです。
 私も近い内に試験を終わらせられそうです。
 私の帰りを楽しみにして、あなたも準備をしながらお待ち下さい。
 私の、あなたから受け取る後継の授与式を」

218

 突如この土地に異変が起きたのは、シルフィ・コルクラート保護官が帰還用の飛行機を手に入れてから3日後だった。組織の支部に帰る前に己達の本来の目的である亜人の保護を行おうと、この日はミト・ラグナル保護官と共に2人で奮闘していた。
 モグラの亜人コルドウを捕獲して支部に護送して保護する為に、残っている煙式麻酔装置を使って保護任務を実施する。怒らせると死んでしまう最高難易度の宇宙人達との闘いは、想像を絶するモノだった。自由の極みのように意味不明な事ばかり喋り続けるモグラ達に翻弄されながら、何とか話題が合ったモグラの好感度を上げて、隙を突いて装置を埋める。スイッチを押して眠り粉が入った煙を出した。後は群れごと無事に眠ってくれるように見守るが、
 何故かコルドウは煙が出た瞬間に、装置と保護官達から急いで遠くに離れて行った。
 しかも周りにいる大量のコルドウも纏めて大勢で。何故か怒っている。攻撃も何故かしてこないが、恐怖を感じる威嚇声を、ほぼ全部のモグラが叫んできた。
 フラッシュライトを掴みながら困惑するミトとシルフィの背後にある平べったい岩の上で胡座をかいて座っている、モグラ達から絶大な信頼を勝ち取っている狼の亜人も不思議に思う。
 ヒュウラは己の側にやって来ていた、土の中にいるミディールに理由を聴いてみた。ミディールの代わりに、やたらに五十音字の5番目を連呼して叫びまくるエスカドというミディールの群れの雄のモグラが答えた。
「おおおおおおおお、おーるデッド、おん!王の下僕に、煙出すなと言え!!おん!おおおおおおおおおおおお!!おん!!東に居る仲間の巣、仲間は皆んな煙吸って死んだ!!」

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