Bounty Dog 【アグダード戦争】154-156

154

 保護官2人の予想通り、翌朝1番初めに起きたのは、猫の亜人リングだった。朝日が出る前に本当に起きてきた猫は、スッキリした顔で清々しく起きるなり、ニャーニャー、ニャーニャー大きな声で鳴き始める。
 『頻繁に鳴くのは生理現象でどうしようも無い』のだと、かつてヒュウラはリングの群れの長だったククという老猫に教えて貰っていた。が、やはり朝の早くから耳元で頻繁に鳴かれると、物凄くうるさい。
 猫鳴きアラームに起こされて、ヒュウラとミトとシルフィが眠気眼を摩りながら起きてきた。外していた青いバンダナとパイロット用ゴーグルを頭に装着したミトが、手首に巻いているスポーツウォッチで時間を確認すると、理想の時間、朝4時10分を示していた。
 天井が開放されるまで、あと50分もある。何も特別な事はしていない何時もの習慣をシルフィに褒められたリングは、ヒュウラには「黙れ」と怒り気味に言われて、大声で鳴くのはもう止めていた。シルフィが寝る前に立てておいた脱出作戦を全員に伝えてから、リングにヒュウラを背負わせた。加えて幾つも付いている取手の2つに網を解いて作った紐が結ばれている巨大盾も、ヒュウラに背負わせた。
 ミトと自分も”アレ”を何時でも使えるようにする。準備が整った時点で、時間は4時45分になっていた。
 ヒシャームは見張りに現れなかった。未だ何処かで寝ているようである。其れか、天井の扉を開ける準備を別の場所でしている。
 シルフィは銀縁眼鏡のレンズの位置を指で調整してから、ヒュウラに足の様子を伺う。「痛い」と答えた相手に返事も反応も一切しないと、
 己らの運命を覆す任務を行わせる存在に、指示をした。

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