Bounty Dog【Science.Not,Magic】43-44

43

 此の船にはシルフィとセグルメントが推測した通り、人間の乗組員が居た。船の舵も人間が手動で行なっており、貨物の検品を終わらせて、操舵手以外の人間達は休憩室に集まっていた。
 誰1人として、船の見回りをしようとしない。悍ましい存在が一緒に乗っているからだった。
 船は民間の、極々普通の運搬会社が所有する貨物輸送用の大型船だった。機密品だと言われて受け取り、現在輸送している、とある企業の荷物はコンテナの中に収めているが、妙な依頼を2つ受けていた。
 コンテナの内、本当の荷物は1個だけに詰み、他のコンテナにはシュレッダー前の不要な書類を詰め込んでいると依頼主の人間に聞かされた時も強い違和感を覚えたが、乗組員達を一箇所に留めている理由は、別の悍ましい依頼だった。
 乗組員達全員が、”アレ”の乗船を断りたかったが、報酬金の高さにより渋々承諾した。東洋の大陸と東南にある島群に住んでいる人間達にとって、非常に有名な生き物。扱いは中東地帯の固有種である『コルドウ』に良く似ていた。
 生息地の付近で暮らす人間達は、其の生き物を『ハリマウォ』と呼んでいる。

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