Bounty Dog 【アグダード戦争】111-113

111

「テープを止めろ」とカスタバラクは命令してこなくなった。代わりにヒュウラからテープレコーダーを奪おうとしてくる。これ以上自分の持っている人間の道具を奪われたくないヒュウラは、ポケットを片手で抑えて死守しながら、もう片手をカスタバラクの胸ポケットから2丁目の拳銃を奪おうと伸ばした。
 お互いがお互いの切り札を奪おうとする。足で相手の足を引っ掛けてバランスを崩させた隙を突いて、ヒュウラは小さく後ろに跳ね飛んで距離を離した。ポケットを抑え込みながら、銃の強奪を諦める。ワザと胸ポケットから銃を出させる事にした。弾を撃ってくる前に急接近して弾き飛ばしてやる作戦に切り替えたが、相手は銃を一向に出してこない。
 “刺客君”に保護されながら、アルバード大佐は”家族”へのメッセージを終わらせた。騒がしくなる一方の周囲の音に負けないよう音量を上げて、ヒュウラが知りたい事を漸く教えてきた。
『私情を挟んですまない、長話が過ぎたようだ。私に残された時間はもう短い、早急に本題に移ろう。ナスィル・カスタバラクの”王様ごっこ”を終わらせる為に、私が事前に施しておいた罠を先ず君に伝える』

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