Bounty Dog 【アグダード戦争】126-127

126

 軍曹達”民間お掃除部隊”と『世界生物保護連合』3班・亜人課の保護官達は、お互いに”協力するだけ”の関係を保ったまま付き合いを続けていた。『アグダードの戦争に直接加担しない』という班長のシルフィが任務前に警告してきた内容を、時々緩くはするが頑なに守っていた。
 故に、カスタバラクの私邸から生還後に何十回と朱色目から依頼される『ミトを我々の掃除部隊に入れて欲しい』を、当然シルフィは毎回「彼女は保護官で兵士じゃないわ」と、断っていた。
 ミトは今、全く”叱られなく”なっていた。が、良く地下室で闘いの練習をしていた。ーー自分から積極的に。彼女の中で何かが大きく変わったらしく、朱色目と2人で何時の間にか何処かに行ってしまっている事も度々あった。が、やっぱり1番好きなのはヒュウラのようで、相変わらず色んな食べ物を調達して、煎餅代わりに彼に与えてきた。
 ヒュウラは、ミトから貰う食べ物を殆んど食べなかった。1番食べたい海苔付き醤油煎餅の代わりはいつも蒸し豆と芋と焼いた肉とトマトばかりで飽きてしまい、好物の煎餅はずっと口に入れていない。煎餅が食べられないストレスで、元々痩せ型だが更に痩せてしまい、身体が悪いのに完全に栄養不足状態だった。
 ミトとリングはヒュウラを心配した。軍曹も酷く心配した。味変してやれば食うかと思って自分が好きなライムを絞って掛けてやっても全く食べない。困った軍曹は考えに考えに考えて、
 ヒュウラを寝かせている居間に、救済道具を持ってきた。

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