Bounty Dog 【清稜風月】40-41

40

 甘夏・カンバヤシと槭樹・イヌナキを先頭に、睦月・スミヨシと槭樹の部下達が後方に並んで山から下りていく。ヒュウラも木々の枝々を跳ね飛んで影から人間達を追跡した。コノハ・スーヴェリア・E・サクラダ保護官も密かに影のように追う。
 鳥居と地蔵が並んでいる山の麓近くまで皆が着いた時、山の頂上から大きな音色が響いてきた。ヒュウラとコノハを含めて全員が音が聞こえて方向を見つめる。甘夏と槭樹が聞き取れない小さな声で其々独り言を漏らした。ヒュウラと睦月は少しだけ目を見開く。
 聞こえてきた音は、昨夜に山と町の人間達を阿鼻叫喚させた北東大陸の男性アイドルグループ録音ライブ音楽と真逆の効果を聴く者達に与える。極めて美麗で不思議な癒し効果がある虫の羽音が、雅楽のようにリズミカルなテンポで暫く鳴り響いていた。

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