Bounty Dog 【清稜風月】240

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 余計な事をもうすべきでは無いと悟ったのだろう。それ以来、此の島に充満している摩訶不思議な力は『届ける』事を止めた。
 あらゆる命の寿命までの時を進める歯車の取手を握って好き勝手に回す『運命』の妨害を、生き物達に委ねる。魔犬が人間達に警告した通り、死せる存在が生者達の世界に干渉する事は法度(はっと)である。一度でも死した存在がどんな形でもエゴで蘇って生者達に干渉する事は、命が頻繁に死して生まれて入れ替わりながら此の世という存在を保護している”野生”の仕組みを大いに歪める。野生の仕組みが乱れると、生き物達と星は滅びを急激に加速させられて、いずれ全てが喪失する。死せし者は永遠に死したモノであらねばならない。生きているモノだけで全てを構成している此の世では、死の洞窟を往復してきた存在はどんな存在でも、何もかもを滅びへと導く脅威でしか無いからだ。
 『霊』は、死者の思念を生者に届ける事を止めた。だが生者の精神で生者と共に生きている、思い出という存在は見えない両手に包み込んだまま離していない。

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