春めかしい
春めかしいという言葉が好きだ。
聞くだけでポッと心が暖かくなるような、小さな花が咲くようなそんな気持ちよさを感じる。
唐突な話だけど、私のもうすぐ一歳になる息子も春生まれ。
彼は、モッコウバラが満開に咲き誇る青い空の朝に生まれた。
春の真ん中のような日に生まれたとはいえ、新生児の頃はまだ外のウイルスに対しての免疫が少ないので外出はできない。
息子を連れて外出できるようになる頃には季節は梅雨になっており、すぐに初夏となった。
まだ彼は春らしい春を知らないと思う。
寒い冬を超え、暖かい春がくるのを彼は、今年生まれて初めて体験するのだ。
とても寒い日、息子を私の自転車につけている子供椅子に乗せる時のこと。
「寒いねぇ」と言いながらシートベルトを止めていたら
冷たい風が吹き、息子がおもいっきりしかめっ面をしていたのを見て
私と主人は見ておもわず笑ってしまった。
しかめっ面が、とても可愛かったのもあるけど
冷たい風とは言え、四季を感じて表情を変える息子の成長が愛おしかったからだ。
あの時の頬を刺すような冷たい風は、頬を優しくなでる春の風に変わりつつある。
春には、実家の玄関にたくさんの花が咲く。
彼の知らない花ばかりだ。
きっと、今やなんにでも興味津々な息子。花にも目を奪われることだと思う。
私は、そんな息子の隣で、ひとつひとつ、名前を教えてあげたいと思っています。(といっても私も知らない花が多いので、母に聞きながら)
彼は今年いったいどれだけの春を感じるんだろう。
私は若葉色の刺繍糸を見た時、「春めかしい」耳飾りを作りたいと思った。
とはいっても、満開の春じゃない。
春の足音が聞こえてくるような、何かが始まるような気がする、ワクワクするような
そんな生まれたての春を感じる耳飾りだ。
「この若葉色に、何か足したい」
フレッシュさをかんじるような、そんななにか。
悩んだ私は、優しいイエローの糸を足すことにした。
ひとさし、ひとさし刺すごとに刺繍枠の中で、小さな春が生まれてくるのを感じた。
そうして生まれた耳飾りは、私が作りたかった、まだ満開じゃない、生まれたての春。
うんうん、やっぱりイエローを混ぜて正解!
元々ベースのグリーンも爽やかな若葉色だけどイエローが入ることで
春らしい柔らかさを感じる。
そして私は顔まわりが一気に華やかになる気がするのでボリュームパールが大好き!
これからもたくさんボリュームパールのラインナップを作っていきます。
是非、この耳飾りをつけて春を満喫してほしいと願うのでした。
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